2022年 04月 02日
AMERICA'S FAVORITES / Kay & Marshall Lee |
その1
19世紀末、小麦粉の色を白くするために石膏や水酸化カリウムの粉を混ぜるパン屋を糾弾し、製粉中にふるいにかけられないあらびき小麦「グラハム粉」やグラハム粉でできた蜂蜜風味の薄地の長いビスケット「グラハムクラッカー」を伝導したアメリカ・フィラデルフィアの牧師シルヴェスター・グラハム。その「グラハムクラッカー」はアメリカで人気商品となり、クラッカーを販売する二つのパン屋の販売網が合併し、1898年にナショナル・ビスケット社が誕生した。後日、ナビスコ社になり、現在は世界第3位食品・飲料会社モンデリーズ・インターナショナルの傘下となっている。そして皮肉なことに今日のグラハムクラッカーは砂糖、漂白された小麦、保存剤を成分としたシルヴェスター・グラハムを激怒させるものとなっている。
その2
ミシガン州バトル・クリークのサナトリウムを経営していた医学博士ジョン・ハーヴェイ・ケロッグは患者の魂の安楽のために(性欲を減退させるために)味気のない食物を摂取するようにすすめ、パンの代用品として干乾びた小麦の種をローラーで引き伸ばして薄い生地をつくり、これを焼いた。その後、小麦の代わりにトウモロコシを使うようになった。こうして誕生したのがコーンフレークであり、1922年にケロッグ社となった。
その3
17世紀末のアジア料理のレシピをヒントにしてトマト、塩、コショウ、クローブ、シナモン、オールスパイス、セロリ、キノコ、エシャロット、砂糖、防腐剤を成分としたケチャップという何にでも使える万能ソースはドイツ移民の息子ヘンリー・ジョン・ハインツが親族と共に設立したハインツ社主力商品のだった。アメリカ全土に販路を拡大したケチャップはどのような料理であっても味を消すために使われるようになり、とくにまずい料理にはうってつけのソースになった。
その4
1930年代、「カーネル・サンダース」として知られるハーランド・デイヴィッド・サンダースはケンタッキー州コービンにある自分のレストランで、11種類の香辛料と香料を使うフライドチキンの調理法を開発した。これが現在世界中に2万店舗以上あるケンタッキー・フライドチキン (KFC) の始まりである。
その5
1937年、カリフォルニアでモーリスとリチャードのマクドナルド兄弟は、所有していた映画館を売却し、カリフォルニア州モンロヴィア空港近くの国道66号線沿いに「ジ・エアロドローム(飛行場)」という名のレストランを開いた。当初はホットドッグ屋だったが、ハンバーガーを1個10セントで売り出すようになった。1940年、マクドナルド兄弟はこの店を、急速に発展するロスアンゼルス郊外のサンバーナーディーノに移した。ドライブイン形式の「マクドナルズ・バーベキュー」という名前の新店舗では、制服姿の従業員が自動車で来る客に対し、ハンバーガーを窓越しに手渡した。人々は常に安く、素早くモノを食べるようになった。1948年、またしてもマクロナルド兄弟は店舗を移転してセルフサービスの店を開き、ハンバーガーのライン生産システムを導入した。その2年後には自分たちの店で年間100万個のハンバーガーと160トンのフライドポテトの販売を目指す。1954年、野心家でミルクシェーク製造機の販売会社社長のレイ・クロックに店のフランチャイズ化を持ちかけられたマクドナルド兄弟は、マクドナルズシステム社を共同で設立し、1961年には商標権をレイ・クロックに売却。レイ・クロックは無駄なコストを徹底して省き、すべてを標準化し、店舗設計には人間工学を取り入れた。ハンバーガー、フライドポテト、ミルクシェークのマクドナルドはアメリカで大成功し、1967年にはアメリカ以外の国に進出した。日本は1971年に第1号店が三越銀座店1階にオープンした。
その6
マクドナルドの知名度は圧倒的だ。2000年初頭に実施した調査では、アメリカの小学生の96%は、マクドナルドのシンボルである道化師のロナルドを知っていた。ちなみに、ロナルドの知名度を超えたのはサンタクロースだけだった。知名度は懸念材料でもある。小学校の150メートル以内にファーストフード店があると、子供の肥満率は5.2%上昇するという調査結果もあるようだ。
その7
危ない砂糖。1960年代までは、食品業界はおもに甘味料としてテンサイとサトウキビから得られるスクロース(ショ糖)を利用していた。1970年以降、食品業界は利益を増やすため、アメリカのトウモロコシから得られるフルクトースのシロップを使うようになった。フルクトースはスクロースよりもはるかに安価であり、液体であるため食品加工に利用しやすい。ところが、スクロースから摂取されるグルコースと違い、コーンシロップから摂取されるフルクトースの血中濃度はインスリンによって制御されない。そのため、血中のコレステロールなどの脂質が増える。さらには、コーンシロップのフルクトースは果物のフルクトースと異なり、他の栄養分と一緒に体内に入ってくるわけではないため、フルクトースそのものの有害な影響が補われることはない。要するにフルクトース(果糖ブドウ糖液糖)は嘆かわしい甘味料なのだ。それにもかかわらず、1970年以降には調理済み料理、炭酸飲料、ケーキ、ヨーグルト、アイスクリーム、デザートなど、食品会社の数多くの食品に果糖ブドウ糖液糖が利用されるようになった。
その8
・・・・・。
1980, NY, Unpaged, 233 x 285 x 18
ニューヨークで本の著作や編集を手掛けるケイ・リーとマーシャル・リーの二人によって、アメリカの食品会社が作っている最も人気があり、長く愛されている食べ物、菓子、飲み物など75品目を紹介した『AMERICA'S FAVORITES』は決してその会社の大きな利益や食品の成分にケチをつけるものではなく、むしろ愛すべきこれらの食品をアメリカン・カルチャーのヴィジュアル・アイコンとして紹介した1冊である。
キャンベル・トマト・スープ、ハーシーズ・ミルク・チョコレート、コカ・コーラ、M & M's チョコレート・キャンディーズ、バドワイザー・ビール、ケロッグ・コーンフレークス、スニッカーズ・バー、ハインツ・トマト・ケチャップ、マクドナルド・ハンバーガー、ケンタッキー・フライド・チキン、リッツ・クラッカーなど日本でもすっかりおなじみの食品をはじめ、スキッピー・ピーナツ・バター、サンシャイン社のチーズ・イットなど主に輸入食品店で販売されている食品や、日本市場から姿を消したボーデン・スライス・チーズなどを収録。
アメリカで愛されているこれらの食品の多くは、メーカーから消費者へ渡ることによって、その存在感は大いに増し、有名な芸術作品や自由の女神などの文化遺産に比肩するほど人々に記憶されることとなった。
本書はその姿をカラー写真で掲載し、対向ページにはサイズ、パッケージ、創業者、発売日、成分、メーカー名、スローガン、注釈とデータが記載されている。
フラップ部分の紹介文冒頭には「AMERICA'S FAVORITES は25世紀のためのタイムカプセルです」とある。
本の状態:ジャケットに欠け、破れ、シミ、汚れあり。本体の天地・小口に薄く茶シミ、本体カバーの角部分にキズあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2022-04-02 12:00
| フード、ドリンク
















