2022年 03月 18日
THE RAKE'S PROGRESS, GLAISDALE, 1886 / Frank Meadow Sutcliffe |

1849年にパリからバルビゾン村へ移住してからの作品であり、タイトルが示す通り、早朝、農夫はフォークを肩に、農婦は籠を帽子代わりに被り、二人で野良仕事に向かうところをミレーが描いている。
ところ変わってイギリス。
1853年生まれのフランク・メドウ・サトクリフ (Frank Meadow Sutcliffe) はロンドン近郊の王室にも愛されたリゾート地タンブリッジ・ウェルズで写真家としてのキャリアをスタートさせ、1876年に港町ウィットビー (Whitby) に移り写真スタジオをオープンする。そのスタジオで当時流行の名刺サイズの肖像写真 (Carte de Visite)を撮影していたが、やがてスタジオの外に出てウィットビーの町や近郊のグレスデール村 (Glaisdale) でその地の風景やそこに暮らす漁業や農業に従事する人々の姿を数多く撮影するようになる。
画家は写真を、写真家は絵画を意識していた時代でもある。写真家でありながら画家だった父親の影響もありサトクリフの絵画の知識は広範囲に及んだ。イギリスで活動したジェームズ・ホイッスラー (James Whistler)、フランク・ブラグイン (Frank Brangwyn)、デイビッド・マレイ (David Murray)、アルフレッド・イースト (Alfred East) の絵画作品をほめたたえている。これらの画家以上にサトクリフが大きな恩義を認めている画家がジャン=フランソワ・ミレー。サトクリフはミレーの絵画から壮大な主題に出会うことができたのであった。ミレーはパリから離れたバルビゾンで、サトクリフはロンドンから離れたグレスデールで、共に産業革命の震動から距離のある場所で、二人の作品は現代世界の進歩によって一掃されようとしている田舎の生活の手触りの証言に立っている。
上のサトクリフによって撮影された写真『レーキの進歩』は明らかにミレーの作品『仕事に出かけるひと』に反響している。人物の背景や農夫ではなく農婦がレーキを肩にしているところに違いはあるが、見るからに二人の構図が似ている。おそらくサトクリフは『仕事に出かけるひと』のようにポーズをとってもらい撮影したのだろう。
The Sutcliffe Gallery の刊行物によると男はリールホルム (Lealholm) の羊飼い George Rogers、女はグレスデールの農場の使用人 Alice Chambers とある。このプリント技法はおそらく Carbon Print だろう。プリントは台紙に貼られ、プリントの裏面を確認することができないため、プリント年は不明だが台紙の状態から察してそれなりに古い時期のプリントだと思われる。
プリントのタイトル:THE RAKE'S PROGRESS, GLAISDALE
撮影者:Frank Sutcliffe
撮影年:1886年
イメージ・サイズ:W 225 H 275
フレーム・サイズ:W 430 H 495 D 30
価格:¥132,000
by booksandthings
| 2022-03-18 12:00
| プリント・ポスター








