2021年 11月 04日
BERENICE ABBOTT & EUGENE ATGET / Clark Worswick |

アメリカの女性写真家ベレニス・アボット (Berenice Abbott) が撮影したフランス人写真家ウジェーヌ・アジェ (Eugene Atget) のポートレイト。
アボットはアジェと同じ通りにスタジオを構えていた写真家マン・レイ (Man Ray) の暗室助手をしていた時に、マン・レイが持っていた数枚のアジェの写真に出会い、アジェを訪ねるようになる。アート・コレクター、ペギー・グッケンハイム (Peggy Guggenheim) の援助によりマン・レイから独立し、自身のスタジオを構えたアボットは1927年7月、アジェにポートレイトを撮影したいと伝え、彼女のスタジオで正面から、横面から、そして立ち姿を撮影する。8月の初旬、出来上がったプリントを届けるためにアジェのスタジオを訪ねたアボットは、アジェが不在でいつも掛かっている「Documents pour artists」の小さな表札もなくなっていることに気づく。そして通りの人たちによってアジェが他界したことを知ることとなる。
ベレニス・アボットとウジェーヌ・アジェとのよく知られた話のひとつである。
2002, Santa Fe, 163 pages, 242 x 275 x 25
1927年8月にアジェが他界し、その仕事の数々をどのようにするかという難問に着手したのはアジェの親友のアンドレ・カルメット (Andre Calmett) で、まずアジェのプリントやネガを2つに分け、ひとつをフランス文化省の歴史的記念物のコレクションに、そしてもうひとつを購入を希望したベレニス・アボットに譲っている。その後、経済的な理由からアボットはアジェのコレクションの半分程度をアート・ディーラーのジュリアン・レヴィ (Julien Levy) に売却すると同時に今後のアボットがプリントしたアジェの作品の販売条件などを取り決め、アボットは1930年代から50年代、あるいは60年代を通してアジェのネガからプリントした。
アンドレ・カルメットから譲り受けたガラス乾板のネガ約1,400枚からアボットは生涯に1,800枚を超えない程度のプリントを行っている。その数は多いようで少なく、実際アジェ自身のプリントよりも少なく、レアなプリントとなっている(付記:アジェ自身のプリントは Albumen Print でアボットによるプリントは Silver Print )。
本書はそのようなひとりの偉大な写真家の作品を別の偉大な写真家がプリントした「アボット/アジェ・プリント」の秀作100点を収録し(内39点がこれまでの写真集には未収録、1点はアボットが撮影したアジェのポートレイト)、二人を論じたユニークなアジェの写真集である。
本の状態:経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2021-11-04 12:00
| 写真












