2020年 09月 05日
UN PAESE / Paul Strand (Photos), Cesare Zavattini (Texts) |

ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品『自転車泥棒』『ひまわり』などの脚本家チェザーレ・ザヴァッティーニ (Cesare Zavattini) の生まれた町として知っている人は知っているルッザーラ。
アメリカ人写真家ポール・ストランド (Paul Strand) は1940年代に写真評論家のナンシー・ニューホール (Nancy Newhall) と一緒にアメリカのニュー・イングランド地方を取材撮影して完成させた写真集『TIME IN NEW ENGLAND』以降、芸術は実存する日々の暮らしに基づいたものであるべきで、芸術家はこの現実を伝えるために常に実験と取り組んで新しい型を作り出さなければならない、という信条を貫いた。
アメリカからヨーロッパに渡ったポール・ストランドは,その信条に基づいた仕事をするべく3番目の妻と一緒にフランスの町を巡った。その距離20,000km。ぴったりとくる町に巡りあうことなくアドリブで撮影を始め、その結果として写真集『LA FRANCE DE PROFIL』を1952年に刊行した。テキストはフランスの作家クロード・ロワ (Claude Roy) が担当。はたから見ると上出来の『LA FRANCE DE PROFIL』だが、ポール・ストランドにとっては満足のゆくものではなかった。ポール・ストランドは大きく影響を受けたエドガー・リー・マスターズ (Edgar Lee masters) の自由詩『SPOON RIVER ANTHOLOGY』とシャーウッド・アンダーソン (Sherwood Anderson) の短編集『WINESBURG, OHIO』、この2作品が素性となるような "Village Portrait" を撮影したかったのだ。
そして次にこの仕事を継続すべくポール・ストランドはチェザーレ・ザヴァッティーニの提案でルッザーラを訪れた。
1955, Torino, 105 pages, 238 x 296 x 14
1955年にイタリア・トリノの出版社から刊行されたポール・ストランドとチェザーレ・ザヴァッティーニの共著『UN PAESE』。
画趣に富まず、これといった特徴のない町ルッザーラで撮影に真剣に取り組むポール・ストランドと、町の人たちに戦中・戦後・そして現在の話を聞きに回るチェザーレ・ザヴァッティーニ。ポール・ストランドが撮影した町の周辺の風景、町そのもの、そこで暮らす人々、土着の文化を伝える索引になりうる人々が使っている道具やポット類、家具など日常のオブジェとチェザーレ・ザヴァッティーニによる町の人たちへのインタビューから得た物語との組み合わせ。
ポール・ストランドが呼ぶところの「相互依存する複合化した全体」、つまり物理的に心理的に互いに過去と自然に密接した個体の姿を発見し見事に描写した1冊。
そしてこの仕事は次のスコットランドのヘブリディーズ諸島への撮影旅行に引き継がれてゆくことになる。
チェザーレ・ザヴァッティーニのテキストはイタリア語。
本の状態:ジャケットが部分的にやや変色気味。ジャケットの縁部分に数か所欠けあり。本体は経年変化程度。
価格:¥55,000
by booksandthings
| 2020-09-05 12:00
| 写真集















