2020年 07月 15日
ARTS ET METIERS GRAPHIQUES NUMERO 9 QUINZE JANVIER 1929 / Charles Peignot |

その数か月前に A・M・カッサンドル は、グラフィック・アートの専門誌『ARTS ET METIERS GRAPHIQUES』の9号(1929年1月15日号)でビフュール体について「…宣言」調に次のように紹介している。
「広告。何キロメートルにもわたる朱色が網膜に銃口をつきつけ、狙い撃つ。結局、一切が掃射され、残るのは言葉だけだ、カデュム (Cadum) とかシトロエン (Citroen) とかの。
ビフュール体はひとつの言葉、ただひとつの言葉である。しかも、ひときわ目立つ言葉だ。スポットライトの光の輪の中のスター・ダンサーのように、ページの舞台に登場する。その他の踊子たちは、右や左、上や下に姿を消す。
ビフュール体は例えば電気掃除機とかエンジンのように、ある一定の機能を果たすものとして構想されたのであり、決して装飾用に考えられたのではない。われわれの活動に役立つ実用性という長所をビフュール体は持っているのだ。
文字は原初には純粋なフォルムを持っていた。しかし、彫刻家のノミや写字生の酒浸りの羽ペン、あるいはその筆跡をちゃちな手段で模倣した初期の印刷工の彫刻刀などによって次第に歪められてしまった。われわれは文字がその原初に持っていたもの、文字のみが持っていたものの一切を復元しようと試みたのである。
したがって、もしビフュール体がその見慣れぬ外観で人を驚かせるとしたら、それは風変わりな身なりのせいではなく、ごてごて着込んだ大勢の人々の間を丸裸で歩き回っているからである。
われわれが試みたのは、言葉が原初において持っていた“イメージ”の力を言葉に返すということにほかならない。最も単純な、図式的な言葉に還元すれば、文字はわれわれの疲れ切った網膜にもっと“映りやすく”なるだろうとわれわれは信じているのだ。
危険。- ビフュール体は鉄道の信号のような機能を持つように構想された - 絶対的な停止信号。もし、ドジな活字工の不注意なミスなどで機能しない場合、破局的な事態は避けられない。広告用の文字であるビフュール体はひとつの言葉、ただひとつの言葉、ポスターの言葉を印刷するためにデザインされたのである。
ある日、ブレーズ・サンドラール (Blaise Cendrars) はいみじくも広告についてのアンケートに次のように答えている。“今日、文学者たちに呼びかけたあなた方に、探し出してもらいたい。あのカデュム坊や (Bebe Cadum) の大掛かりなポスターと並んでパリに君臨できるような、巨大でしかも簡潔な言葉を見つけ出せる、心のおもむくままに生きている詩的天才を”。
まさにそのような言葉を印刷するために、ビフュール体は鋳造されたのである」
1929, Paris, 52 pages +, 246 x 310 x 9
A・M・カッサンドルのビフュール体をシルバー・メタリックの紙に印刷して紹介した『ARTS ET METIERS GRAPHIQUES』第9号。
作家アンドレ・ビリー (Andre Billy) のタイポグラフィの未来についての一文、イギリスの印刷業者ジョン・バスカヴィル (John Baskerville) の活字とレイアウトについての解説、画家マリー・ローランサン (Marie Laurencin) の版画作品についての解説、地形図の製作方法、古代経典の文字について、・・・・・など毎号ながら感心させられる過去と現在のグラフィック芸術を行き来する内容となっている。
本の状態:ソフトカバー。カバーに僅かなシミ、擦れあり。ビフュール体の見本ページに少しキズあり。その他、内部の数ページに薄くシミがあるものの目立った大きなダメージはない。
価格:SOLD
1933年に ARTS ET METIERS GRAPHIQUES から刊行されたブラッサイ (Brassai) の傑作写真集『PARIS DE NUIT』では、ポール・モーラン (Paul Morand) の巻頭テキスト・ページにビフュール体が使われている。
by booksandthings
| 2020-07-15 12:00
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