2018年 06月 22日
JESSIE TARBOX BEALS FIRST WOMAN NEWS PHOTOGRAPHER / Alexander Alland, Sr. |





上の写真とそれらのキャプションを見て首をかしげる方もいらっしゃるだろう。
撮影された場所は、アメリカのセントルイス。セントルイスの街に日本のアイヌを含め世界のいくつか民族が、はたしてこのように暮らしていたのだろうか・・・。
これらの写真は、1904年に開催されたセントルイス万国博覧会で撮影されたものである。主催者たちは、まるでネイティヴ・アメリカンの保護区やフィリピンの村やアルゼンチンの奥地やアイヌの村が突然現れたかのように展示地区を造成した。そして人々までも彼らの基準からすると高額な賃金で勧誘、塀に囲われたその内側で世界のいくつかの国の原住民を展示したのである。人間動物園 (Human Zoo) と形容されたものであったが、単なる見世物としてでなく、チャールズ・ダーウィンの進化論や人間測定学からの視点に基づいて展示された。
撮影者は、ジェシー・ターボックス・ビール (Jesse Tarbox Beals)。
彼女は、アメリカの歴史を学ぶ展示や産業国家としての華々しい成果を誇る展示よりも、エキゾチックな人々を撮りに行った。


















1978, NY, 95 plates + Text (92 pages), 275 x 248 x 20
最初の女性ニュース写真家といわれながらも知る人の少ないジェシー・ターボックス・ビールズの数少ない作品集のひとつ。
アメリカの同時代写真家には、アルフレッド・スティーグリッツ (Alfred Steiglitz) や女性写真家であればガートルード・ケーセビア (Gertrude Kasebier)、アリス・オースティン (Alice Austin)、社会派であればジェイコブ・リース (Jacob Riis)、ルイス・ハイン (Lewis Hine) らの名が思い浮かぶ。
小学校の教員をしていた頃、雑誌の懸賞で運よく手に入れたカメラによって写真家の道を歩んだジェシー・ターボックス・ビールズ。本書は、ビールズの写真家としての成功を印象付けたセントルイス万博の写真を始め、ニューヨークに移り撮影した移民たちの生活を捉えた作品やアメリカ版アーツ・アンド・クラフト運動の一翼を担ったバードクリフ・コロニーの様子、ボヘミアンたちが暮らし始めた頃のグリニッジ・ビレッジの様子、写真スタジオを開業してから注文の多かったインテリアや庭の写真やポートレイトなど彼女の活動と作品を紹介している。著者アレクサンダー・アランド・シニアによるとビールズが世界的に後世に名を残すことができなかった原因として、どこにも属さずにひとりであったこと、被写体があまりにも多様過ぎてまとまりがなかったことをあげている。
とは言え、ジェシー・ターボックス・ビールズは、世紀転換期のアメリカに生き、大きな帽子に長いたっぷりとしたスカート姿をトレードマークに、激変するアメリカ社会を映し出したひとりとして侮れない写真家であることは言うまでもない。
本の状態:ジャケットに擦れによる僅かな汚れあり。本体の天地・小口に点状の茶シミあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2018-06-22 12:00
| 写真集 作家別作品集

