2018年 01月 25日
ONE SPECIAL SUMMER / Jacqueline and Lee Bouvier |
「もやは戦後ではない」という言葉が発せられた頃、日本でもいすゞ自動車が完全ノックダウン生産していた懐かしい乗用車である。
その広告には女性ドライバーの登場が目立つ。増えつつある女性ドライバーに向けて、小型で女性にもやさしい点をアピールしたものだろう。
まったくもって普通の姉妹ではないジャクリーン・ケネディ・オナシス (Jacqueline Kennedy Onassis) とその妹リー・ラジヴィル (Lee Radziwill) が比較的まだ普通の姉妹だった若き頃(未婚の頃)に、二人だけでヨーロッパ各地旅した際、そのお嬢さんたちのお伴をしたのがヒルマン・ミンクスだった。
1974, NY, Unpaged, 274 x 335 x 7
1951年、うら若きジャクリーンとリーのブーヴィエ (Bouvier) 姉妹は、クイーンエリザベス号に乗船してロンドンへ。
数年前にソルボンヌ大学に留学したことのある姉ジャクリーンからその地での生活の様子を手紙で知らされていた当時17歳のリーにとっては、子女教育で著名なミス・ポーターズ・スクール (Miss Porter's School) を卒業して大学に進んでからの初めてのわくわくするヨーロッパ遊学。
まずはロンドンでヨーロッパを巡るための足を確保。乗用車の展示販売店に行き、ヒルマン・ミンクスを1台購入。こうしてイギリス、フランス、スペイン、イタリアの各地への旅が幕を開ける。最大の目的地(おそらく)のイタリアでは、ルネッサンス芸術の著名な美術評論家バーナード・ベレンソン (Bernard Berenson) や具象彫刻家ペリクレ・ファッツィーニ (Pericle Fazzini) とも面会。
本書はそんな二人のひと夏の旅のスクラップ・ブック形式のトラヴェローグである。主に文章を妹のリーが手掛け、装飾と挿絵を姉のジャクリーンが担当。ブロンテ姉妹並の(?)手書きの文章に、ソール・スタインバーグ並(?)のドローイング。本のデザインは、アレクセイ・ブロドヴィッチの愛弟子でハーパース・バザーのアートディレクターを務め、ダイアン・アーバス、リゼット・モデル、リチャード・アヴェドン、ロバート・フランク、ピーター・ビアード、ソール・ライターら数多くの写真家とも親しいマーヴィン・イスラエル (Marvin Israel) の手による。
やはり普通ではない姉妹の旅の楽しい記録である。
*お伴のヒルマン・ミンクスは、旅の終盤のパリで売り払ったそうだ。
本の状態:ジャケットの角、背部分に小さな欠け、後側にキズあり。本体は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2018-01-25 12:00
| ピープル