2018年 01月 22日
KURT SCHWITTERS IN ENGLAND 1940-1948 / Stefan Themerson |
第二次世界大戦下の様々な出来事を経て、1942年にロンドンに移り住んだ二人。
戦後の1948年、二人は出版社 Gaberbocchus Press を設立。役割分担は、主にステファンがエディターで、フランシスカはアーティステック・ディレクター。そして活動を続けた1979年までの間に59タイトルを出版。二人の情熱の詰まった出版物は、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に位置するナショナル・アート・ライブラリーにも収蔵され、出版物の世界にその名をとどめている。
1958, London, 62 pages, 178 x 247 x 13
Gaberbocchus Press から刊行されたドイツのダダイスト、クルト・シュヴィッターズ (kurt Schwitters) に関するいくつかの著作の嚆矢となった1冊である。クルト・シュヴィッターズといえばメルツ (Merz) を生み出したアーティスト(ステファン・ティーマソンの文章では、メルツはダダの従兄弟)。
クルト・シュヴィッターズとステファン・ティーマソンの出会いは、1943年にロンドンのペン・クラブが主催したジョン・ミルトンの著書『Aeropagitica』300周年記念の場だった。シュヴィッターズはドイツのハノーファーから、ティーマソンはポーランドのプウォックからこのロンドンにやってきた二人は意気投合し、シュヴィッターズはティーマソン夫妻の家を訪ねるなど1948年にシュヴィッターズが亡くなるまで断続的に交際。
本書はシュヴィッターズの死から10年経った年に刊行されたイギリスでのシュヴィッターズの芸術活動をまとめたものである。
1958年2月に Gaberbocchus Common Room でステファン・ティーマソンがシュヴィッターズについて話したことを本書の序文とし、シュヴィッターズの作品群(空爆された瓦礫の中から拾ってきたワイヤーをモチーフにした彫刻作品 Air and Wire Sculpture、コラージュ、住まいアンブルサイドでのメルツバーン、ウルソナタを朗唱するシュヴィッターズの口元のシークエンス、英語での創作詩など)、数色の紙を差し込み、フランシスカ・ティーマソンが新聞『The Times』の記事 Court Circular から拝借しデザインした、とてもシュヴィッターズ的なカバー・デザインに包まれた、この本自体がコラージュと言えそうな魅力的な仕上がり。
本の状態:プリンテッド・カードボード・カバー。カバーに少し擦れによる汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:¥29,700
by booksandthings
| 2018-01-22 12:00
| アート