2017年 07月 12日
FLOWER ARRANGEMENT / Norman de Kalb Edwards |

弊店の路地の石畳やコンクリートの隙間に根を張り、この夏も至る所に生えてきた。玄関扉の前も例外ではない。雑草という名の植物はないので、名前はあるのだろうが不案内なので知らない。すでに葉が茶色く枯れかけているにもかかわらず、日が昇ると小さな黄色い花を咲かせる。玄関前なので抜けばいいものを、色々と勉強させられるので抜かずにそのままにしてある。いづれそのうちに扉の開閉で引っかかって折れて枯れしまうだろう。昨年の夏、根を張った別の種類の植物もそうだったのだ。
白洲正子刀自の著作のなかに、花について次のような件があった。
「花を活けるというのは、実にいい言葉だと思う。花は野にあっても、生きているのに違いはないが、人間が摘んで、器に入れ、部屋に飾った時、花はほんとうに生命を得る。自然の花は、いってみればモデルか素材にすぎず、活けてはじめて「花に成る」のである。だから華道のことを「お花」といい、花器のことを「花生け」、花をさすことを「生け花」と呼ぶのだろう。こういう言葉は、外国語にはない。仕方なしにフラワー・アレンジメントなどといっているが、生け花は単に花を都合よくアレンジする(まとめる、整理する)ことではあるまい。花生けのことも、ヴァースとかヴェースとか呼んでいるが、この語源には萼(がく)という意味があり、したがってただ花を支えるための用途しか示していない。花に対する考え方、扱い方が、日本人とは、根本的に異なるのだ」と、千利休のいけばなの神髄についての話に続く。



















FLOWER ARRANGEMENT / Norman de Kalb Edwards
1961, Los Angeles, 192 pages, 228 x 258 x 25
白洲正子刀自のやり玉にあがったタイトルに「フラワー・アレンジメント」という外国語を使った本である。
著者ノーマン・エドワーズ (Norman Edwards) は、1929年にニューヨークのファッション・イラストレーター、マルセル・フロメンティ (Marcel Fromenti) と出会い、パリのポール・ポワレ (Paul Poire) の下で手伝いをしたキャリアの持ち主。その後、劇場の舞台芸術の分野に進み、併せて西海岸のアートスクールで教鞭をとっていた。ファッションやデザインやアートの仕事以外にフラワー・アレンジメントへの興味は尽きず、ついにその哲学や技術をまとめた本書を刊行するに至る。エジプト、ギリシャ、インド、中国、日本、そしてアメリカの影響を感じさせる様々なスタイルのフラワー・アレンジメントを展開。1960年代、アメリカ人、ということもあり、現代の視点から見るとオールド・ファッションな感はまぬかれないが、本書に序文を寄せているメール・アーミテージ (Merle Armitage) の息のかかった書籍だけに気の利いたレイアウト含めたデザインは秀逸である。
発行部数は明記されていないが(おそらく1,000部)、見返しに著者の署名とエディションが記されている。
本の状態:ジャケットに擦れ、キズあり。本体は経年変化程度。
価格:SOLD
8月10日。運よく折れずにすくすくと伸びた植物。



キューバの自宅の庭に生えていた樹が、自宅の床に根を伸ばし、床を持ち上げた時も樹を切るのに猛反対したと、ある本に書かれている。
by booksandthings
| 2017-07-12 12:00
| 趣味・実用

