2017年 07月 10日
DAY OF PARIS / Andre Kertesz, George Davis (Editor) |

アメリカ人のジャーナリストであり作家でもあるエリオット・ポール (Elliot Poul) は、ボストンで新聞記者として働き、第一次世界大戦時に連合国軍に参加してフランスに赴いた。終戦後いったん帰国はしたものの再びフランスに渡ったエリオット・ポールは、操觚者としてパリの目立たない庶民的なユシェット通り (Rue de la Huchette) に住み、中世そのままの酒蔵のある酒場オテル・デュ・カヴォーに集まり、そこでパリをフランスを見つけた。そして1940年のドイツ軍のパリ侵攻までその地で生活した。帰国後、そのパリでの生活を素材とした著作『The Last Time I saw Paris』を刊行。両大戦間のパリのごく庶民的な生活で自分が見たこと感じたことを克明に描き、読者に追体験させる見事な何とも面白い作品は、吉田の健坊が『書架記』で激賞し、日本でも知っている人は知っている名作となっている。






















1945, NY, 148 pages, 183 x 245 x 12
エリオット・ポールの琴線に触れたパリ写真集『DAY OF PARIS』
ハンガリー人写真家アンドレ・ケルテス (Andre Kertesz) が撮影したこの写真集についてエリオット・ポールは次のように書いている。「フランスの首都パリを再現しているのでもなければ、産業のパリや、娯楽のパリを写しているのでもない。・・・・・(ケルテスの)視線が捉えるものは、通行人が捉える光景である。有用なことをしている人は誰もおらず、雑踏もない」
アンドレ・ケルテスの写真集『DAY OF PARIS』は、ケルテスがパリを発つ前にわずかに選んで携えてきたプリントから編集され、ニューヨークの小さな出版社 J.J. Augustin から戦後間もない1945年に刊行されたケルテスのとってアメリカでの最初の写真集である。ケルテスがパリで撮影した1920年代後半から1930年代前半の写真で構成され、レイアウト、デザインをアート・ディレクター、アレクセイ・ブロドヴィッチ (Alexey Brodovitch) とピーター・ポロック (Peter Pollock) が手掛け、気の利いたキャプションをハーパース・バザー誌のジョージ・デイヴィス (George Davis) が執筆している。
写真、余白、キャプションで構成されたページ・レイアウトは、そっくりそのまま美術館やギャラリーの壁に展示するかのようなシークエンスであり、いうまでもなく完成度が高く、またジャケットでは、鏡の写し絵のようにシンメトリーに配されたタイトル文字がお見事。
アメリカに渡ってから不遇だったアンドレ・ケルテスは、この写真集によって、昔の友人たちの思い出を呼び戻し、出版、編集の世界での実力者に対して自己主張したとも評された傑作写真集。
本の状態:ジャケットに擦れによる汚れ、小キズ、縁部分にシワ、小さな欠けあり。タイトルページに薄く茶シミ、後見返しに小さな書店(サンフランシスコ)のシールあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2017-07-10 12:00
| 写真集

