2016年 10月 26日
LE CORBUSIER MOMENTS IN THE LIFE OF A GREAT ARCHITECT / Rene Burri |
フォト・エージェント Magnum に所属し、実のある写真家人生をスタートさせたばかりのスイス人写真家 Rene Buri のル・コルビュジェとの最初の縁は、ル・コルビュジェが設計したロンシャン礼拝堂の献堂式典の取材の時だった。そのルポタージュは、6ページに亘り雑誌『PARIS MATCH』に掲載され二人の仲を取り持つ良縁となったのだが・・・。
さて、上の写真は同じくルネ・ブリが撮影したパリの自宅の寝室でのル・コルビュジェの1枚。
スイスの雑誌『Du』に掲載されたこの写真に巨匠ル・コルビュジェは、パリのマグナムへ手紙を送り、ルネ・ブリに苦言を呈した。寝室にかけられたル・コルビュジェが高く評価するフランス素朴派の画家アンドレ・ボーシャンの絵画を照らすために、脇の読書灯を調整している自身の姿が、まるで聖母マリヤを崇拝し、お祈りを捧げているかのように見えることに気分を害したのである。自ら無神論者であることを言って憚らないル・コルビュジェならではの苦言だろう。
LE CORBUSIER MOMENTS IN THE LIFE OF A GREAT ARCHITECT / Rene Burri
1999, Basel, 184 pages, 295 x 234 x 23
ルネ・ブリは、前衛的な異様な建物に半信半疑のロンシャンの村人を前に、ル・コルビュジェが演説も行った1955年のロンシャン礼拝堂の献堂式典からル・コルビュジェの最後の建築作品ハイディ・ウエーバー・ミュージアム(現)に至るまでに約3,000枚のル・コルビュジェとその仕事に関するネガを残している。
本書は、❝Villa Savoye, Poissy 1928-1931❞、❝Atelier Le Corbusier, 35 Rue de Sevres, Paris❞、❝Pavillon Zurichhorn, Heidi Weber, Zurich, 1960-1967❞、❝Couvent de la Tourette, Eveux-sur-Arbresle, 1953-1960❞、❝Notre-Dame-du-Haut, Ronchamp, 1950-1955❞、❝Cite radieuse, Marseilles, 1945-1952❞、❝Appartement-atelier, Le Corbusier, 24 Rue Nungesser-et-Coli, Paris, 1931-1934❞ の章に分かれ、ルネ・ブリの写真と Arthur Ruegg の解説で構成した1冊。ル・コルビュジェのパーソナルな写真家としては、なんといっても Lucien Herve が知られているが、ルネ・ブリによるル・コルビュジェ及びその作品に対するアプローチは同志的自然な印象を感じさせる。
本文のテキストは英語。フランス語のテキストの別冊付。
本の状態:経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2016-10-26 12:54