2015年 08月 10日
MERCI GONAIVES / Danny Lyon |

自衛隊の一部の隊員以外ほとんどの日本人にとっては馴染みのないカリブ海の小国ハイチ。
1804年にフランスから独立するも、その後も国内の混乱が続いた国家であり、2010年に起きた大地震が未だ記憶に新しい。
独裁政権によりハイチの暗黒時代と呼ばれた1958年から1986年までは、通りの壁に描かれた肖像画デュヴァリエ一族がハイチを統治し、父は「パパ・ドク」、その息子は「ベイビー・ドク」と呼ばれて国民から親しまれた時期もあったが、従わない人々は徹底的に弾圧し続けたため、結果的に1986年のクーデターにより国を追われている。














MERCI GONAIVES / Danny Lyon
1988, Clintondale, 63 pages, 230 x 278 x 5, Signed by the photograher
写真家ダニー・ライオンは、1986年1月に299ドルのチケットを購入しニューヨークから3時間のフライトでハイチに到着した。そして2月、3月とクーデター(2月革命)前後のハイチに滞在し、首都ポルト―プランスやハイチ北部の都市ゴナイーヴで革命の様子をカメラに捉えている。
それから19カ月が過ぎ、ダニー・ライオンはラジオでハイチの大統領候補者が殺害されたり、200人に及ぶ農民の殺害されたとのニュースを聞き、2月革命を経ても未だ民主主義とは距離を置くこの国のことに衝撃を受けた。
本書は、ダニー・ライオンがアメリカのいくつかの大学の出版局やアパチャー社など利益を重要としない出版社へ話を持ち掛け、結果的に断られ、ようやくニューヨーク州クリントンデールの出版社 Bleak Beauty Books から刊行することのできたハイチ2月革命のドキュメンタリー写真集である。ダニー・ライオンが出版社探しをしている最中にも、ボストン在中でハイチ出身のタクシードライバーが母国の状況に抗議するため、マサーチュセッツ州議会前でガソリンをかぶり焼身自殺を図っている。カリブ海の小国ハイチはアメリカ帝国の裏庭に位置する。ハイチ人タクシードライバー Antoine Thurel が用意していたフランス語で書かれたプラカードには「the soldiers of death paid by the U.S.」の文字が。
We are free? Free to do what?
Free to make pictures that no one will ever see?
Free to write reports on events that no one will print?
Are we being honored for our collective ineffectiveness?
Are the grants and awards they give us our rewards for complicity in murder?
ダニー・ライオンはそう問いかける。
本の状態:ソフトカバー。写真家のサイン入り。カバーに経年による変色、多少の擦れによる汚れあり。下部の角部分に当たりによるシワあり。その他は経年変化程度で概ね良好。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2015-08-10 12:00
| 写真集

