2018年 04月 01日
JOHN THOMSON A WINDOW TO THE ORIENT / Stephen White |

1873年(明治6年)に撮影されたとされる明治天皇の有名な肖像写真。
撮影者は、日本の写真黎明期において、写真術研究の中心地であった九州グループといわれる写真師の代表的人物上野彦馬の弟子のひとりで、東京の浅草に写真館を設け、「東都随一」との評判だった内田九一。諸外国との外交関係の深まりによって、各国の君主の肖像写真を交換する必要が生じた時代に撮影された公式な1枚である。


上の2枚の写真はそれぞれタイの君主とカンボジアの君主の肖像写真である。タイ国王ラーマ4世は1865年、カンボジアのノロドム国王は1866年に撮影されている。そして撮影者は、その地の国民ではなくスコットランド人ジョン・トムソン (John Thomson) である。
















1985, NY, 200 pages, 244 x 276 x 23
内田九一が撮影した明治天皇もジョン・トムソンが撮影したマーラ4世、ノロドム国王も共に写真技術はウエット・コロジオン法(湿版法)。ガラス板の上に薬剤を塗り、溶液に浸して感光性を持たせて、乾かないうちに撮影、現像する方法である。
ジョン・トムソンは1862年にエディンバラからシンガポールに渡り、アジアに魅了され現在のタイ、カンボジア、マレーシア、スリランカ、インド、ベトナム、香港、そして中国各地を旅し、その地の人々や土地、風景の歴史的な写真を数多く残している。ヨーロッパから離れたアジアの地で湿版法による写真撮影(特に野外撮影と薬剤の手配)がどれほど大変であったかは想像に難くない。
本書はそんなジョン・トムソンの全体像を知ることのできる1冊である。アジア、そしてアジアの旅から戻って撮影したロンドンの街路の写真、そして1878年に訪れたギリシャのキプロス島の作品が収録されている。「国王から花売りまで」、初期の偉大なフォトジャーナリストの作品集である。
本の状態:ジャケットに擦れによる汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2018-04-01 12:00
| 写真集 作家別作品集

