2015年 03月 15日
PESCADORES MACUA / Jose Henriques E Silva |
「帽子をあみだにかぶる」という表現があるが、背もたれを前にして椅子をまたいで坐ることに対する例えの表現があるのかどうかは知らないが、ポルトガル人の多彩な芸術家 Victor Palla はそのように椅子に坐って写真におさまっている。
画家、イラストレーター、建築家、編集者、翻訳家、作家、グラフィック・デザイナー、陶芸家、写真家、そして映画・音楽愛好家、愛書家、加えて数か国語に通じた人物。数多く手掛けた本のデザインの中でも世界的に評価の高い1冊は1959年に刊行された写真集『LISBOA CIDADE TRISTE E ALEGRE』。同じく建築家であった Costa Martin との共著であり、各々がリスボンの街を撮影し、それらを見事なグラフィック感覚でまとめた写真集である。それから40年後、76歳のVictor Palla は再び写真集のグラフィック・デザインを手掛けている。
PESCADORES MACUA / Jose Henriques E Silva
1998, Lisboa, Unpaged, 270 x 308 x 25
「親愛なる読者の皆様。仮にあなた方が “エキゾチック” “原始的” “暗黒大陸的” な点をお考えであるならば、この本の4分の3はそうではありません。我々はここでは人間を扱っているのです」と、まるで自身が撮影した写真集であるかのように巻末にコメントを寄せた Victor Palla。
本書は1919年にリスボンで生まれたポルトガル人写真家 Jose Henriques e Silva が、嘗てポルトガルの植民地であったアフリカ・モザンビークの海沿いで生活する Macua の人々を1959年から内戦が勃発するあたりの1980年代までに撮影した作品の展覧会を機に刊行された1冊である。
なんだかとってもひょうきんな漁師村の人々を真っ直ぐ捉えた写真と黒を巧みにレイアウトした Victor Palla のデザインの効果によって、一層写真に注視させられる。
限定2000部。
本の状態:ジャケットの縁部分に擦れ、シワあり。本体は経年変化程度。
価格:¥25,300 (2020/4/18 UPDATED)
by booksandthings
| 2015-03-15 12:00
| 写真集