楽しみにしていた一関のジャズ喫茶ベイシーのドキュメンタリー映画『ジャズ喫茶ベイシー Swifty の譚詩』が京都でも公開され、早速観に行った。ジャズ喫茶ベイシーの「あの感じ」を思い出し堪能した。ベイシーにはわずか3回だが訪れたことがあり、今でもその時のことをよく覚えている。初回は緊張しつつ扉を開け、珈琲とウィスキーを数杯飲んで数時間過ごし満たされた気持ちで店を後にした。2回目の時は席に座ってスピーカーと向かい合っていたところテーブルを挟んだ目の前の席に突然マスターの菅原さんがどっしり腰かけられ、目を閉じてスピーカーの音を聞いておられた。驚きつつ頃合いを見計らって知り合いの名前を告げたところ、「なんだぁ、***ちゃんの知り合いか・・・こっちこっち」と管原さんにとってのコックピットのような丸いテーブル席に招かれて色々と話をしていただき、途中で合流なさった他のお客さんとワイワイガヤガヤと遅くまで居て、店を出る時は管原さんも一緒だった。そして3回目は前回名前を出したその知り合いと訪ね、その日の閉店後に皆で近所の韓国料理店に向かいご相伴に預かった。1回目から3回目の訪問には1年、あるいはそれ以上の間があり、3回目の訪問からはすでに10年以上経っている。さて、ベイシーの店内はオーディオ機器、レコード、記念写真、カメラ、野口久光の映画ポスター、モンブランのインク壜、壁に書かれたミュージシャンや来店者のサインなど目を引くもので溢れているのだが、1冊の写真集が気になった。その写真集はウィリアム・クラクストン (William Claxton) の『JAZZ』なのだが、店内の他に数ある本は積んであったり、棚に立てかけてあるのだが、『JAZZ』はドラムやピアノの脇の譜面立てにあった。訪ねた3回すべて移動されることなく同じく譜面立てに置かれていた。そして今回観た映画の中でも同様に譜面立てに置かれているのをスクリーンで目にした。ちょっと気にかかる。一種の職業病ともいうべきものか。JAZZ / William Claxton
1987 (Second edition), Pasadena, Unpaged, 237 x 312 x 18
1955年に刊行されたウィリアム・クラクストン初のジャズ写真集 『 JAZZ WEST COAST 』 はタイトル通り、アメリカ西海岸のジャズ・シーンをそれ以前のジャズ関連の刊行物のように写真を付属の挿絵のような扱いではなく、グラフィックなフォーマットで仕上げた最初のフォトグラフィック・アート・ブックと呼べるものだった。
本書はその後時を経て1987年に刊行された、ジャズ・シーンを芸術の域に導いたウィリアム・クラクストンによる西海岸だけでなく東海岸のジャズ・シーンも含めた傑作をまとめた1冊である。出版人ジャック・ウッディによる控えめながら際立ったグラフィック感覚を持ったブック・デザインと濃淡の美しい印刷。ジャズ写真集の珠玉。
本の状態:ジャケットに少し擦れあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
特装限定版。
JAZZ / William Claxton
1987, Pasadena, 240 x 320 x 23 (スリップケース・サイズ)
限定100部、ウィリアム・クラクストンのサイン入り特装本。
本の状態:スリップケースの背部分がやや変色。その他は経年変化程度。。
価格:SOLD