2013年 12月 09日
大坊珈琲店 / 大坊勝次 |
東京・南青山の大坊珈琲店が12月23日まで営業し、閉店となる。
通りに面しては幅があるのだが、奥行きがなく、そのため急階段にならざるを得ないあの界隈でユニークな建物が取り壊されるからだそうだ。
大坊珈琲店には東京に住まいがあり、特に南青山に職場があった頃によく通わせていただいた。大半が昼食後であり、最初からずっと3番を飲んでいた。3番はメニューの中で真中の濃さに当る。うまい具合に昼時でも空いた席に座り、3番を注文し、持ってきた本のページを開き読み始めるのだが、毎回店の様子も気になり、ついつい目につかない程度に視線を巡らせる。掛かっている絵や活けた花、棚に置かれたカップ類やコーヒー豆、手廻しのロースター、メニューの書かれたボード、燻されたハヤカワ・ミステリー文庫、そしてご主人の珈琲をいれる姿や奥様やスタッフの方の働いておられる姿など。そしてまた本のページに目を戻す頃、珈琲が供されている。ややぬるめの温度とスッと喉を通る珈琲のせいか、あっという間にカップの珈琲がなくなってしまう。もう1一杯を我慢し、いつも10分か15分程度で席を立っていたように思う。長居をしないいい客だったかもしれない(?)。そんなある日、大坊珈琲店で3番を飲んでいたところ、偶然にも知り合いの関西の方と出会った。その方は随分前からの常連客だったらしく、ご主人とも懇意になさっておられたようだった。ご主人の大坊さんがその方に「お知り合いだったのですね。よくお越しいただいているのですよ。」と私のことを話され、それからしばらくして私に「これからもいつも通りでいいんですよ。」と声を掛けていただいた。いつも通りとは、本のページに目をやり、珈琲を飲んで、ご主人に話しかけることなく、さっと帰るということだ。つまりあまりこちらに気を遣わずいつも通りにどうぞ、ということだろう。印象に残っている言葉である。
その日以降もお言葉に甘えて特にいつもと変わることなく通わせていただいていたのだが、そのうちにお互いの住まいが比較的近いことが最寄り駅近辺でバッタリお会いしたり、朝のランニングの途中でお見かけしたりなどしてわかった。それからは時々、代々木公園の今年の新緑はどうであるとか紅葉はこうである、などの話を帰り際にするようになった。




大坊珈琲店 / 大坊勝次
2013, 東京, 2冊組, 119 pages + 135 pages, 138 x 215 x 27 (帙サイズ)
大坊珈琲店のご主人大坊勝次さんが閉店を前にして刊行された1冊。
装幀は猿山修氏。2冊揃いで構成されており、1冊目はボルドー・カラーのクロス装。関戸勇氏による写真に続いて、「大坊珈琲店のマニュアル」と題した大坊さんの文章。そして2冊目はペーパーバック+ジャケット装に著名人ら様々な大坊珈琲店のお客様のエッセイが収録されている。
ぼんやりとしていた大坊珈琲店の珈琲のことや常連客のこと、調度品や飾られた絵や活けられた花、BGM、書棚の本、そしてなによりも大坊さんの輪郭が、この本を読み進むうちに少しはっきりとしてきたような気がする。
本の状態: 新品
価格: SOLD
英語版。English edition.






A DAIBO COFFEE MANUAL / Katsuji Daibo
2015, Tokyo, 32 pages, 133 x 208 x 4
自費出版『大坊珈琲店』の中の「大坊珈琲店のマニュアル」部分を英訳し、欧文組版による活版印刷(本文スミ1色・表紙2色刷り)で刊行された『A Daibo Coffee Manual』。
デザインは自費出版と同じく猿山修氏。版元は東京の NAHOKO PRESS 。
状態:フラップ付きソフトカバー。新品。
価格:SOLD
通りに面しては幅があるのだが、奥行きがなく、そのため急階段にならざるを得ないあの界隈でユニークな建物が取り壊されるからだそうだ。
大坊珈琲店には東京に住まいがあり、特に南青山に職場があった頃によく通わせていただいた。大半が昼食後であり、最初からずっと3番を飲んでいた。3番はメニューの中で真中の濃さに当る。うまい具合に昼時でも空いた席に座り、3番を注文し、持ってきた本のページを開き読み始めるのだが、毎回店の様子も気になり、ついつい目につかない程度に視線を巡らせる。掛かっている絵や活けた花、棚に置かれたカップ類やコーヒー豆、手廻しのロースター、メニューの書かれたボード、燻されたハヤカワ・ミステリー文庫、そしてご主人の珈琲をいれる姿や奥様やスタッフの方の働いておられる姿など。そしてまた本のページに目を戻す頃、珈琲が供されている。ややぬるめの温度とスッと喉を通る珈琲のせいか、あっという間にカップの珈琲がなくなってしまう。もう1一杯を我慢し、いつも10分か15分程度で席を立っていたように思う。長居をしないいい客だったかもしれない(?)。そんなある日、大坊珈琲店で3番を飲んでいたところ、偶然にも知り合いの関西の方と出会った。その方は随分前からの常連客だったらしく、ご主人とも懇意になさっておられたようだった。ご主人の大坊さんがその方に「お知り合いだったのですね。よくお越しいただいているのですよ。」と私のことを話され、それからしばらくして私に「これからもいつも通りでいいんですよ。」と声を掛けていただいた。いつも通りとは、本のページに目をやり、珈琲を飲んで、ご主人に話しかけることなく、さっと帰るということだ。つまりあまりこちらに気を遣わずいつも通りにどうぞ、ということだろう。印象に残っている言葉である。
その日以降もお言葉に甘えて特にいつもと変わることなく通わせていただいていたのだが、そのうちにお互いの住まいが比較的近いことが最寄り駅近辺でバッタリお会いしたり、朝のランニングの途中でお見かけしたりなどしてわかった。それからは時々、代々木公園の今年の新緑はどうであるとか紅葉はこうである、などの話を帰り際にするようになった。




大坊珈琲店 / 大坊勝次
2013, 東京, 2冊組, 119 pages + 135 pages, 138 x 215 x 27 (帙サイズ)
大坊珈琲店のご主人大坊勝次さんが閉店を前にして刊行された1冊。
装幀は猿山修氏。2冊揃いで構成されており、1冊目はボルドー・カラーのクロス装。関戸勇氏による写真に続いて、「大坊珈琲店のマニュアル」と題した大坊さんの文章。そして2冊目はペーパーバック+ジャケット装に著名人ら様々な大坊珈琲店のお客様のエッセイが収録されている。
ぼんやりとしていた大坊珈琲店の珈琲のことや常連客のこと、調度品や飾られた絵や活けられた花、BGM、書棚の本、そしてなによりも大坊さんの輪郭が、この本を読み進むうちに少しはっきりとしてきたような気がする。
本の状態: 新品
価格: SOLD
英語版。English edition.






A DAIBO COFFEE MANUAL / Katsuji Daibo
2015, Tokyo, 32 pages, 133 x 208 x 4
自費出版『大坊珈琲店』の中の「大坊珈琲店のマニュアル」部分を英訳し、欧文組版による活版印刷(本文スミ1色・表紙2色刷り)で刊行された『A Daibo Coffee Manual』。
デザインは自費出版と同じく猿山修氏。版元は東京の NAHOKO PRESS 。
状態:フラップ付きソフトカバー。新品。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2013-12-09 12:00
| ガストロノミー

