2013年 11月 10日
CECIL BEATON'S FAIR LADY / Cecil Beaton |
オードリー・ヘップバーンはとてつもなく大きな鷺のような眼と極東のほうに向かってかしいだ黒い眉を持っている。彼女の顔立ちはかわいいというよりは、個性的である。口は幅広く、下唇には古典的な美の基準から言えば少し深すぎる切れ込みがある。そしてデリケートな頬は、顎の骨よりも小さく見えるほどだ。彼女は、デフォルメがそれ自体としておもしろいというだけでなく、まったくの過不足のない合成物をなしているモジリアニの肖像画のようだ。
この子供っぽい頭部(ココナッツのように小さく、刈り込んだ髪に包まれている、そして、猿の毛のようにふわふわとした前髪がついている)の下には、信じられないほど細くまっすぐな首がある。垂直な線は棒のような背中に続く。天性の上品さがなかったなら、彼女はひどくのっぽに見えただろう。彼女はいつも両腕を腰に当てるか背中に回すかして、両足を開いて立つ。片方の踵は地面にのめり込み、爪先は天を指している。彼女は椅子に坐るよりも足を組んで床に腰をおろすほうが自然に見える。
生来の芸術家であるオードリー・ヘップバーンは、自分がどう見えるかということに関して大胆で自信を持っている。やわな美しさを拒絶した彼女は、活力の欠如というものとは無縁である。棒状のドーランを器用な手つきで使い、上下の瞼にたっぷりと黒いシャドウをつける。そして仕上げには、ピエロのように大胆に、唇の両端からはみ出すほど口紅を塗る。だから、にっこりすると大きなくし型に切ったサンボの西瓜みたいになる。一般大衆はこのような妥協のない思い切った容貌を受け入れ、ほんの20年前までは理想とされていた綺麗なロマンティックなヒロイン、あるいは作り物の神秘性を持ったヒロインを過激にも捨ててしまった。
ヘップバーンのように若い娘が生来のスターの素質を持っているというのは、めったにない現象だ。オードリー・ヘップバーンは大成功の結果、特別のまばゆい輝きを身に着けている。これは喝采を受け称賛され愛されることから生まれる輝きである。実際オードリー・ヘップバーンは毎月、ドラマチックな名声を上げている。
セシル・ビートンのよるオードリー・ヘップバーン評。写真家、イラストレーター、作家ならではの目である。












CECIL BEATON'S FAIR LADY / Cecil Beaton
1964, NY, 128 pages, 146 x 217 x 17
セシル・ビートンはお気に入りのオードリー・ヘップバーンが主演するミュージカル映画 『マイ・フェア・レディ』 のセットとコスチュームを担当し、映画は大ヒットとともにアカデミー賞作品賞を受賞し、ビートンもオスカー賞を受賞している。こよなく愛したエドワード7世時代のワイングラスのようにくびれた腰、羽飾りとパラソル、ボタン付きの編み上げ靴など古き良き時代のコスチュームを存分に表現し、それらは映画の中だけでなく雑誌 VOGUE にも多くのページを割いて紹介された。
本書はそのビートンによるマイ・フェア・レディ日記。仕事のきっかけから撮影の模様までを書き連ねた日記、コスチュームのスケッチ、そして映画のスティールや別のスタジオで撮影されたオードリー・ヘップバーンのポートレイト(VOGUEに掲載分)が収録されている。多くの自身の作品集同様に、本書のジャケットのデザインもセシル・ビートンが手掛けている。
本の状態: 概ね良好。
価格: SOLD
この子供っぽい頭部(ココナッツのように小さく、刈り込んだ髪に包まれている、そして、猿の毛のようにふわふわとした前髪がついている)の下には、信じられないほど細くまっすぐな首がある。垂直な線は棒のような背中に続く。天性の上品さがなかったなら、彼女はひどくのっぽに見えただろう。彼女はいつも両腕を腰に当てるか背中に回すかして、両足を開いて立つ。片方の踵は地面にのめり込み、爪先は天を指している。彼女は椅子に坐るよりも足を組んで床に腰をおろすほうが自然に見える。
生来の芸術家であるオードリー・ヘップバーンは、自分がどう見えるかということに関して大胆で自信を持っている。やわな美しさを拒絶した彼女は、活力の欠如というものとは無縁である。棒状のドーランを器用な手つきで使い、上下の瞼にたっぷりと黒いシャドウをつける。そして仕上げには、ピエロのように大胆に、唇の両端からはみ出すほど口紅を塗る。だから、にっこりすると大きなくし型に切ったサンボの西瓜みたいになる。一般大衆はこのような妥協のない思い切った容貌を受け入れ、ほんの20年前までは理想とされていた綺麗なロマンティックなヒロイン、あるいは作り物の神秘性を持ったヒロインを過激にも捨ててしまった。
ヘップバーンのように若い娘が生来のスターの素質を持っているというのは、めったにない現象だ。オードリー・ヘップバーンは大成功の結果、特別のまばゆい輝きを身に着けている。これは喝采を受け称賛され愛されることから生まれる輝きである。実際オードリー・ヘップバーンは毎月、ドラマチックな名声を上げている。
セシル・ビートンのよるオードリー・ヘップバーン評。写真家、イラストレーター、作家ならではの目である。












CECIL BEATON'S FAIR LADY / Cecil Beaton
1964, NY, 128 pages, 146 x 217 x 17
セシル・ビートンはお気に入りのオードリー・ヘップバーンが主演するミュージカル映画 『マイ・フェア・レディ』 のセットとコスチュームを担当し、映画は大ヒットとともにアカデミー賞作品賞を受賞し、ビートンもオスカー賞を受賞している。こよなく愛したエドワード7世時代のワイングラスのようにくびれた腰、羽飾りとパラソル、ボタン付きの編み上げ靴など古き良き時代のコスチュームを存分に表現し、それらは映画の中だけでなく雑誌 VOGUE にも多くのページを割いて紹介された。
本書はそのビートンによるマイ・フェア・レディ日記。仕事のきっかけから撮影の模様までを書き連ねた日記、コスチュームのスケッチ、そして映画のスティールや別のスタジオで撮影されたオードリー・ヘップバーンのポートレイト(VOGUEに掲載分)が収録されている。多くの自身の作品集同様に、本書のジャケットのデザインもセシル・ビートンが手掛けている。
本の状態: 概ね良好。
価格: SOLD
by booksandthings
| 2013-11-10 12:00
| 写真集

