2022年 06月 20日
EISEN UND STAHL / Albert Renger-Patzsch |

第一次世界大戦の敗戦により誕生したドイツ共和国、新生ヴァイマル共和制時代。文化の領域でも旧ドイツ帝国時代の反省とともに新しい息吹が芽生えだした。
その中で新即物主義(ノイエ・ザハリヒカイト)は最たる芸術運動だった。情熱に満ちた表現から距離を置き、冷淡で飾らないリアリズムを描写する傾向を持った、いわゆる即物的な表現に徹した芸術。
写真界のおける新即物主義の記念碑的写真集は、アルベルト・レンガー=パッチュ (Albert Renger-Patzsch) が1928年に刊行した 『DIE WELT IST SCHÖN (世界は美しい)』 である。上の写真のような産業構造物ですらも、クローズアップや斜めに切り取ったフレーミング、極端なパースペクティブなどの撮影方法により、審美的な要素を見いたしうる事物であることを示したものだった。

















EISEN UND STAHL / Albert Renger-Patzsch
1931, Berlin, 97 plates, 219 x 305 x 12
『DIE WELT IST SCHÖN (世界は美しい)』 の出版から3年後の1931年に刊行されたレンガー=パッチュによる写真集『EISEN UND STAHL(鉄と鋼)』。
モダニストの眼を通して撮影されたドイツ工業の復興の様子が写し出されている。第一次世界大戦の敗戦により連合国への莫大な賠償金を背負込み、インフレや高い失業率の中、復興への一進一退の状況の最中の出版物である。力強い鋼鉄の建造物や部品などをタイナミックなクローズアップや遠近法で捉え、復興に懐疑的な人々にも訴えうる美しくもプロパガンダ的な写真に仕上がっている。
やがて誕生するヒトラー率いる第三帝国への途上の写真集でもある。
本の状態:ジャケットの表側上部に大きな欠け、背部分に欠け、全体的に擦れ、キズ、汚れあり。本体の背部分クロス装に部分的なヤケあり。見返しには前所有者のモダンなゼラチン・シルバー・プリントの蔵書票、見返し、遊び紙、タイトルページに薄く点状のシミあり。その他は経年変化程度。
価格:¥165,000
by booksandthings
| 2022-06-20 12:00
| 写真

