2013年 09月 18日
MOSKAU (MOSCOW) / William Klein |
モスクワで一夜を過ごした。
照明もまばらな薄暗い空港に降り立ち、そこからバスに乗り、どこに向かっているのか正確にわからないまま真っ暗な夜道を走り、やがてポツポツと明かりが見えだした辺りでバスから降り、目の前の宿舎のような建物に入った。案内されたベッド一つの小さな部屋に荷物を置き、すぐに1階にある食堂で簡単な食事をとった。食事はスープにハム数切れ、そして酸味のあるライ麦パン。酒はない。食事を済ませ、部屋に戻りしばらくすると、ノックの音が。扉を開けるとニコニコしたおばさんが、かごを抱えながら、「ビーワ(ビール)?」と訪問販売。ルーブルではなく、1本1ドルだったか2ドルだったか。仮にルーブルであったとしても持ち合わせはない。どなたかがロシアのビールは世界一不味いと言い放ち、「馬の小便ビール」と名付けたそのラベルすら貼られていない瓶ビールをラッパ飲みした後、小さなベッドにもぐりこんだ。
あの時は、どこへ行く途中だったのか、モスクワのどの空港に降り立ったのか思い出せないが、ロシアに入国していないので自由行動は当然許されず、モスクワに滞在していたのだが、ほとんど何も見ていない、見ていないので記憶も曖昧な本当の話である。


















MOSKAU (MOSCOW) / William Klein
1965, Hamburg, 184 pages, 263 x 352 x 24
ウィリアム・クラインの都市四部作の三作目『MOSCOW』 のドイツ語版である。
第四作 『TOKYO』 のために来日した直前にモスクワで撮影したものがまとめられている。じっくり都市に腰を据えること、あるいは数度に亘り訪れたりすることなく、ウィリアム・クラインは短い滞在期間で、その都市の街路のリズムと生気を写真に捉えることができるのだろう。嘗ての 『NEW YORK』 のような爆発的なダイナミズムやグラフィックさの特性は抑えられているが、緊張感はページに漲っている。写真集は、“モスクワ人”、“特権階級、宮殿と公園”、“街” の四章で構成されたストリート・フォトの名著。
本の状態:ジャケットに数か所破れあり。本体は経年変化程度で概ね良好。
価格:SOLD
照明もまばらな薄暗い空港に降り立ち、そこからバスに乗り、どこに向かっているのか正確にわからないまま真っ暗な夜道を走り、やがてポツポツと明かりが見えだした辺りでバスから降り、目の前の宿舎のような建物に入った。案内されたベッド一つの小さな部屋に荷物を置き、すぐに1階にある食堂で簡単な食事をとった。食事はスープにハム数切れ、そして酸味のあるライ麦パン。酒はない。食事を済ませ、部屋に戻りしばらくすると、ノックの音が。扉を開けるとニコニコしたおばさんが、かごを抱えながら、「ビーワ(ビール)?」と訪問販売。ルーブルではなく、1本1ドルだったか2ドルだったか。仮にルーブルであったとしても持ち合わせはない。どなたかがロシアのビールは世界一不味いと言い放ち、「馬の小便ビール」と名付けたそのラベルすら貼られていない瓶ビールをラッパ飲みした後、小さなベッドにもぐりこんだ。
あの時は、どこへ行く途中だったのか、モスクワのどの空港に降り立ったのか思い出せないが、ロシアに入国していないので自由行動は当然許されず、モスクワに滞在していたのだが、ほとんど何も見ていない、見ていないので記憶も曖昧な本当の話である。


















MOSKAU (MOSCOW) / William Klein
1965, Hamburg, 184 pages, 263 x 352 x 24
ウィリアム・クラインの都市四部作の三作目『MOSCOW』 のドイツ語版である。
第四作 『TOKYO』 のために来日した直前にモスクワで撮影したものがまとめられている。じっくり都市に腰を据えること、あるいは数度に亘り訪れたりすることなく、ウィリアム・クラインは短い滞在期間で、その都市の街路のリズムと生気を写真に捉えることができるのだろう。嘗ての 『NEW YORK』 のような爆発的なダイナミズムやグラフィックさの特性は抑えられているが、緊張感はページに漲っている。写真集は、“モスクワ人”、“特権階級、宮殿と公園”、“街” の四章で構成されたストリート・フォトの名著。
本の状態:ジャケットに数か所破れあり。本体は経年変化程度で概ね良好。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2013-09-18 12:00
| 写真集

