2012年 06月 22日
L'OBJET CARTIER / Franco Cologni and Ettore Mocch-etti |
辰野隆の戦前に書かれた随筆集を読んでいると、幸田露伴について次のような文章があった。
・・・斯ういふ型の文學者は現代には極めて罕になつてゐるので、愈々珍重せずにはゐられなくなるのである。現代の文學者 - 必ずしも文學者のみならず一般の著作者 - はその著作を讀むとなかなか物識りだと思ふが、親しく會つて話を聽くとそれほどでもなく、知識は最近の著書に悉く注ぎ込んで、頭の中は當分隙だらけと云つたやうなのが少くない。ところが露伴先生のような仁になると、著作は固より言ふまでもないが、一度會談すると、時習を脱して愈々底が深く、内から滾々として湧き出て来るものがある。一昨年の夏であったか、日本評論者の座談會で初めて卓然たる風丯と馨咳に接して、愈々その感を深くした。・・・
「知識は最近の著書に悉く注ぎ込んで、頭の中は當分隙だらけと云つたやうなのが少くない。」とは耳が痛い。ブログもセールス・トークとはいえ、日々勉強を怠らないようにしなければいけないと思いつつ、いつものように1冊本を紹介する。


カルティエ・ブティックのウインドウ前で何やら思案中のモナコのレーニエ大公とグレース・ケリー王妃。どなたかへのプレゼントでも物色中なのだろうか。
一方、おそらくカルティエのものだと思われるブレスレットとブローチを身につけ、清々しげにカルティエを立ち去るシンプソン夫人。
長く世界のセレブリティに愛され続けたカルティエは、創業から150年が過ぎ、2009年には写真家ブルース・ウェーバーがクリエイティヴ・ディレクターとして指揮をとり、1冊の魅力的なヴィジュアル・ブック 『CARTIER I LOVE YOU』 も刊行されている。












L'OBJET CARTIER / Franco Cologni and Ettore Mocchetti
1992, Paris, 254 pages, 253 x 287 x 30
創業時からこの本の出版時までの装飾美術と呼ぶにふさわしいカルティエの品々を、多くの図版とそれらのストーリー、スケッチなどを交え、まとめた1冊。
銀器、ルーペ、シガレット・ケース、ライター、灰皿、筆架、卓上時計、卓上カレンダー、トラベル・キット、香水壜、コンパクト、ペーパーナイフ、スティショナリー、ペン、万年筆、カクテルセット、キャンドル・スタンド、カフリンクス・・・、そして比較的新しい製品であるカトラリー、磁器、グラス、バッグ、手帳など。
今の時代では使うことのなくなったオブジェも含まれるが、それらが使われていた優雅な時を想像しつつ、想いを馳せるのも一興である。また、ベル・エポックのブルジョアジーの姿を写したジャック・アンリ・ラルティーグの写真が数点収録され、時代の風俗とカルティエのオブジェが製作されたその時代の空気が伝わってくる。
本の状態: 外箱は擦れあり。本体は概ね良好。
価格:SOLD
・・・斯ういふ型の文學者は現代には極めて罕になつてゐるので、愈々珍重せずにはゐられなくなるのである。現代の文學者 - 必ずしも文學者のみならず一般の著作者 - はその著作を讀むとなかなか物識りだと思ふが、親しく會つて話を聽くとそれほどでもなく、知識は最近の著書に悉く注ぎ込んで、頭の中は當分隙だらけと云つたやうなのが少くない。ところが露伴先生のような仁になると、著作は固より言ふまでもないが、一度會談すると、時習を脱して愈々底が深く、内から滾々として湧き出て来るものがある。一昨年の夏であったか、日本評論者の座談會で初めて卓然たる風丯と馨咳に接して、愈々その感を深くした。・・・
「知識は最近の著書に悉く注ぎ込んで、頭の中は當分隙だらけと云つたやうなのが少くない。」とは耳が痛い。ブログもセールス・トークとはいえ、日々勉強を怠らないようにしなければいけないと思いつつ、いつものように1冊本を紹介する。


カルティエ・ブティックのウインドウ前で何やら思案中のモナコのレーニエ大公とグレース・ケリー王妃。どなたかへのプレゼントでも物色中なのだろうか。
一方、おそらくカルティエのものだと思われるブレスレットとブローチを身につけ、清々しげにカルティエを立ち去るシンプソン夫人。
長く世界のセレブリティに愛され続けたカルティエは、創業から150年が過ぎ、2009年には写真家ブルース・ウェーバーがクリエイティヴ・ディレクターとして指揮をとり、1冊の魅力的なヴィジュアル・ブック 『CARTIER I LOVE YOU』 も刊行されている。












L'OBJET CARTIER / Franco Cologni and Ettore Mocchetti
1992, Paris, 254 pages, 253 x 287 x 30
創業時からこの本の出版時までの装飾美術と呼ぶにふさわしいカルティエの品々を、多くの図版とそれらのストーリー、スケッチなどを交え、まとめた1冊。
銀器、ルーペ、シガレット・ケース、ライター、灰皿、筆架、卓上時計、卓上カレンダー、トラベル・キット、香水壜、コンパクト、ペーパーナイフ、スティショナリー、ペン、万年筆、カクテルセット、キャンドル・スタンド、カフリンクス・・・、そして比較的新しい製品であるカトラリー、磁器、グラス、バッグ、手帳など。
今の時代では使うことのなくなったオブジェも含まれるが、それらが使われていた優雅な時を想像しつつ、想いを馳せるのも一興である。また、ベル・エポックのブルジョアジーの姿を写したジャック・アンリ・ラルティーグの写真が数点収録され、時代の風俗とカルティエのオブジェが製作されたその時代の空気が伝わってくる。
本の状態: 外箱は擦れあり。本体は概ね良好。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2012-06-22 12:00
| 応用美術・装飾美術

