2019年 10月 20日
TOTO MESTO JE VE SPOLECNE PECI OBYVATEL / Bohumil Hrabal (Text), Miroslav Peterka (Photo) |
表紙のデザインからタイポグラフィーかグラフィック関連の本にも見えなくもないが、この本はチェコ文学の担い手としてミラン・クンデラ (Milan Kundera) らと並んで評される作家ボフミル・フラバル (Bohumil Hrabal) と写真家ミロスラフ・ペテルカ (Miroslav Peterka) の共著による写真集である。この写真集の出版年1967年は、政治的にはチェコスロバキア作家同盟が共産党批判を行い、アレクサンデル・ドゥプチェクが共産党第一書記長に就任していた期間の変革運動「プラハの春」の時期にあたる。
なんとも皮肉な写真集のタイトルがそれを物語っているかのようだ。
TOTO MESTO JE VE SPOLECNE PECI OBYVATEL / Bohumil Hrabal (Text), Miroslav Peterka (Photo)
1967, Praha, Unpaged, 175 x 247 x 14
本書のタイトルは『この町は市民と共同で管理されている』。
ミロスラフ・ペテルカが撮影する写真は、全体的にソビエト管理下における町や人々のもの悲しい、メランコリックな雰囲気に包まれており、道路標識をはじめ、落書き、商店の表記など町で目にするサインが目を引く。サインの文字は、「通行禁止」「行き止まり」「理髪店」「スタジオ」「毎日営業」「休み」・・・などだ。
後半の数ページには、公園で散歩を楽しむ人々、結婚式を挙げたカップル、そして穴に入りどこかに向おうとする赤ん坊の写真、そして最後のページには、「POUZE VYCHOD」と書かれた標識看板が・・・。「西側」と訳せばいいのだろうか。
本の状態:ジャケットにヤケ、縁部分に小さな欠け、破れあり。後側のジャケットの折り込み部分に折れ目あり。その他は経年変化程度。
価格:¥27,500 (2019/10/20 UPDATED)
by booksandthings
| 2019-10-20 12:00
| 写真集