2012年 03月 12日
LENGTHENING SHADOWS OF BEFORE NIGHTFALL / J-ohn Dugdale |

世界で初めて刊行された写真集ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットの“THE PENC-IL OF NATURE” を思わせる古典的なスタイルの一枚。写真家はもちろん19世紀の人物ではない。かつてはニューヨークの高級ファッションの店バーグドーフ・グッドマンやラルフ・ローレンなどのクライアントを持っていた写真家 John Dugdale の作品である。エイズによってまず右目が見えなくなり、左目もほとんど見えなくなって以降、コマーシャルの世界から自身の作品作りに転向する。19世紀の古典的なプリント技法であるサイアノタイプや鶏卵紙(Albumen print) を用い、助手と共に作品を作る。それらの作品は敬愛するアメリカの先験論者であるホイットマン、ディケンソン、ソロー、エマーソンらに影響を受けたものだ。











LENGTHENING SHADOWS OF BEFORE NIGHTFALL / John Dugdale
1995, Santa Fe, Unpaged, 240 x 311 x 24
カバーには背の部分にタイトル、そして表紙は沐浴するかのように川に佇み、何やら自然の景色に目を向けている男の写真、著者の名前は見当たらない。またしてもTwelvetrees / Twin Palms のジャック・ウッディらしいインテリジェンスを感じさせるシックな体裁。
このジョン・ダッグデールの写真集に掲載されている写真は、すべてサイアノタイプと呼ばれる印画方法でプリントされている。そのプリントをクリーム色のウッド・フリー・ペーパー(上質紙)に4色で印刷。やや淡めに調整されたサイアノタイプのブルーとクリーム色の紙とのコントラストが美しい。技法、テーマといい、この写真集を眺めると、目に見えない遥か昔の世界に引き戻されたかのように感じる。
1842年にイギリスで発明されたサイアノタイプは、日本でも幕末・明治初期の写真師、横山松三郎らもプリントを試みている。日本における写真創成期の面々は大したものだ。
本の状態: 経年変化程度で概ね良好。
価格: SOLD
by booksandthings
| 2012-03-12 12:08
| 写真集 作家別作品集

