2023年 05月 15日
THE PUEBLOS / Laura Gilpin |
ネイティヴ・アメリカンの記録写真を撮った写真家の中で最も世に知られた人物は、エドワード・シェリフ・カーティス (Edward Sheriff Curtis) になるだろう。アメリカの財閥 J.P. Morgan から多額の援助を得て15年にも及びネイティヴ・アメリカンの生活を撮影した写真家である。そのカーティスは、15年間で40,000枚程度の写真を残し、歴史的な資料ともいえる『THE NORTH AMERICAN INDIAN』 全20巻を1907年から刊行を始め1930年に完成させた。その大著の復刻版が2018年に刊行されている。全20巻に加えて、20点からなるポートフォリオが用意された。なんとも驚くべき復刻版である。
さて、アメリカの女性写真家ローラ・ギルピン (Laura Gilpin) は、1925年からプエブロ族 (Puebos) の撮影を考古学者に案内されながら撮影を始めた。おそらくネイティヴ・アメリカンの撮影を始めた最初の女性写真家ではないだろうか。15世紀にコロンブスが大陸を発見する遥か前、今から12,000年前にユーラシア大陸からベーリング海を移動しアメリカに渡った先住民たち。その彼ら狩猟民族が生活した広大な大地や遺跡、そして原住民の今の生活などが撮影されている。ストレートな記録写真と嘗てのローラ・ジルピンの手法であったピクトリアリスト・スタイルのソフト・フォーカスによるムードのある写真も加わり、より神聖な雰囲気を湛えている。ネイティヴ・アメリカンの精神の古層に触れるような作品なのである。
1941, NY, 124 pages, 185 x 243 x 12
ローラ・ギルピンは、1920年代からプエブロ族の撮影を開始、その後友人とキャンピング旅行でナバホ族 (Navajo) の撮影にも取り掛かかる。その友人が集落(リザベーション)にフィールド・ナースとして居住することに伴い、より頻繁にナバホ族の居留地を訪れ撮影するも、1933年に友人の経済的な理由による失業により、ローラ・ギルピンの撮影もそこでストップする。その後、1950年に再びナヴァホ族の居留地に戻るまでの間に、彼女にとって最初となる本書『THE PUEBLOS: A CAMERA CHRONICLE』を出版した。
1979年サンタ・フェで他界。
ウィリアム・ヘンリー・ジャクソン (William H. Jackson) やティモシー・H・オサリヴァン (Timothy H. O'Sullivan) 他多数のインディアンを撮った記録者たちとは一線を画した、愛から生まれたエドワード・カーティスの仕事を真に引き継ぐサウス・ウエストに魅了され続けた女性写真家だった。
本の状態:ジャケットに破れ、シワ、キズ、擦れによる汚れあり。本体の前後見返しに点状の茶シミあり。前見返し遊び紙の角部分が斜めに切り取られている。内部ページの数か所に点状の茶シミあり。その他は経年変化程度。
価格:¥22,000
by booksandthings
| 2023-05-15 12:00
| 写真