2018年 08月 06日
E.J. BELLOCQ: STORYVILLE PORTRAITS / John Szarkowski |

長く埋もれていたネガが偶然にもある人物の目に留まり、それらの写真が写真史に記されるという例としてアーネスト・ジェームス・ベロック (Ernest James Bellocq) という写真家が上げられる。
現存するとされているネガは89枚。E・J・ベロック自身のワーク・デスクを撮影した上の写真以外はおそらくすべてニューオーリンズの紅燈街ストーリヴィルの娼館で撮影されたものであり、被写体は娼婦たちである。べロックの人物に関しては依然として明らかになっていない点が多いそうだが、1873年ニューオーリンズ生まれ、フランス風の「パパ」と後の「パ」にアクセントを置いて呼ばれ、身長は150センチぐらいで小柄、病気により変形した頭部、ハイピッチな話し方、アヒルのようなよたよた歩きだったと言うからかなり個性的で風変わりな人物だった。そのあたりはなんだかフランス人画家ロートレックのイメージと重なる。
おそらく娼婦たちは彼に好意を持って撮影を許しているのだろう、写真に写った彼女たちはのびのびとくつろいだ表情が多い。ヌードを撮ってもらっている女性や日曜日に教会に行くような着飾った女性、白の背景紙の前でポーズをとる女性やインテリアの調度品と一緒写った女性など自分の思っているようにベロックに撮ってもらっているようであり、撮影されることに満足しているように見える。
これらの写真が日の目を見ることになったことは、1917年に海軍によって閉鎖されることとなるストーリヴィルの偉大な歴史的資料につながり、そしてベロックという稀有な写真家の存在の大発見でもある。








1970, NY, 33 plates, 245 x 285 x 14
ベロックの死後89枚のガラス乾板のネガが彼のデスクから見つかり、どのような経過はわからないがニューオーリンズのアートギャラリーのオーナー Larry Borenstein という人物が所有する。ある日、そのギャラリーでのジャズバンドの演奏後、写真家リー・フリードランダー (Lee Friedlander) はラリーからそれらのネガを見せてもらった。そしてフリードランダーはラリーに頼んでそれらのネガを購入し、20世紀の変わり目にポピュラーだったプリント技術を研究し、そこに写されたベロックの女性たちを見事に再生させた。ネガには破損の跡などが見受けられるものもあるが、それがまた魅力を引き立てている。
本の状態:ジャケットの背部分上部周辺に破れ、キズあり。タイトルページと後余白ページに点状の茶シミあり。その他は経年変化程度。
価格: SOLD
by booksandthings
| 2018-08-06 12:00
| 写真

