2020年 05月 09日
RFK FUNERAL TRAIN / Paul Fusco |
それまでは近くの川で遊んでいたのだろうか、子どもたち5人は水着姿、その両親と線路脇にきちんとこの世に生を受けた順に並び、両腕を真直ぐに下げ、真摯に何かを見送っている。
その目線の先にあるものはアメリカの政治家ロバート・ケネディの棺を載せた葬儀列車である。
1968年ロス・アンジェルスのアンバサダーホテルのロビーで暗殺されたロバート・ケネディの遺体は一旦ニューヨークに、そこからアーリントン墓地へ埋葬するためにワシントンへ列車で運ばれた。それは初めて葬儀列車が運行されたリンカーン大統領以来のことであり、103年が経過していた。ロバート・ケネディを乗せた葬儀列車は、通常ニューヨークからワシントンまでの4時間を倍の8時間かけて移動。
沿線には何時間も待ったであろう人々、白人、黒人、プエルトリカン、アイリッシュ、ユダヤ人など数千、数万人。それらの人たちが列車の通過を見送った。泣いている人、手を振っている人、「SO-LONG BOBBY」「RFK We love you」と書かれた紙を掲げた黒人女性、星条旗を手にする人、花を手にする人、挙手の礼をもって見送る人、胸に手をあてている人、ひざまずいている人、たったひとりで見送っている人など様々だ。
これらのシークエンスを撮影したのは写真家ポール・フスコ (Paul Fusco) 。LOOK 誌の編集者から依頼され、まずセント・パトリック教会へ向かい、そして後に葬儀列車が発車するペン・ステーションで同乗した。そうして列車の窓からこれらのエモーショナルな写真の数々が撮影されたのだ。
2000, NY, 125 pages, 288 x 187 x 14 (本のサイズ)
1968年に撮影されたにも拘らずこれらの写真が日の目を見るのは30年後だった。ロバート・ケネディの死から30年、雑誌 『GEORGE』 が最初に掲載をした。『GEORGE』 はロバートの兄である第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの息子ジョン・ジョンことJFK Jr. が1995年に創刊した当時話題の雑誌である。創刊号の表紙を飾ったのは、ハーブ・リッツが撮影したジョージ・ワシントンに扮したスーパーモデル、シンディ・クロフォードだった。そしてすぐ後にロンドンの The Photographers' Gallery が展覧会を開催し、同時に最初の写真集も作られた。ペーパーバックで9つの異なった表紙があり、350部限定の少部数。続いて2000年にやっとポール・フスコが所属するマグナムによりレギュラー・エディションでハードカバー、ペーパーバックの両方で写真集が刊行された。
本書はその2000年にマグナムより特別に刊行されたプリント付き限定本。プリントにはサインはないが、写真集のタイトルページにポール・フスコのサインがなされている。
プリントのイメージサイズ:W320 H210
フレームのサイズ:W470 H370 D250
状態:概ね良好。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2020-05-09 12:00
| オリジナルプリント(写真)