2017年 08月 05日
PARIS MAGNUM PHOTOGRAPHS 1935-1981 / Irwin Shaw (Text), Inge Morath (Intro.) |
初めて買った洋書の写真集は、今でも手元に置いてある。
学生の頃の話である。四条河原町を上がった西側に京都書院という屋号の書店があった。出版も手掛けており、店舗は5階だか6階建てのビルだった。その店の上階に美術書のフロアーがあり、多くは和書だったが、少し洋書も並んでいた。そこに通ううちに、1冊どうしても欲しい写真集が見つかった。当時は学生で腹ペコの日々、手にしたお金で腹がようやく満たされると、余ったお金はやはり少しは色気のあることに使うことになり、写真集へ流れることは暫くなかった。ようやく腹と色気を後回しに、その写真集を購入したのは、目にしてから半年以上が経過していた。当時、洋書は今以上に高かった。フラップ部分に印字された表示価格は、$30となっていたが書店での販売価格は、¥6,000以上だったかと思う。学生にとって¥6,000の本は、ちっと高い。意を決してその写真集をレジに。するとありがたいことに勘定を払おうとすると、書店員は、それを見て¥1,000をその場で値引いてくれた。その写真集は、客が手にすることによってジャケットに数々のシワができ、そして7cm程度の破れが2箇所、もはや新刊とは呼べないありさまだったのである。半年以上も売れなかった一因はここにもあったのだろう。写真集のタイトルは『PARIS MAGNUM PHOTOGRAPHS 1935-1981』。先に述べた通り、大きな破れやシワもそのままに我家の本棚に収まっている。
PARIS MAGNUM PHOTOGRAPHS 1935-1981 / Irwin Shaw (Text), Inge Morath (Intro.)
1981, NY, 111 pages, 235 x 310 x 15
1981年にパリのリュクサンブール美術館 (Musee du Luxenbourg) を皮切りに数か国で開催された写真展 PARIS/MAGNUM を機に刊行された1冊である。
物事のありのままの姿だけを尊び、世の中のあるがままの姿を伝える写真家を集めて、編集側の裁量や検閲に煩わされない写真家の共同組織・友愛会をつくるというロバート・キャパのアイデアから正式に結成された写真家集団マグナム。ニューヨーク近代美術館の洒落たレストランで会合がもたれた後、1947年に結成された。結成当初は、ニューヨークとパリに事務所を設置し、ロバート・キャパ、ウィリアム・ヴァンディヴァート、ジョージ・ロジャー、デヴィッド・シーモア、アンリ・カルチェ=ブレッソンら国籍も違えば素性にもはなはだしい隔たりのある写真家たちによってスタートし、現在も地球規模で写真を発信するとんでもない集団であることは夙に有名である。
そんな彼らにとってパリは事務所があるだけでなく特別な場所。本書は、マグナムのメンバーの中から28名によるパリ写真を紹介。マグナム結成以前に写真家としてのキャリアを歩んでいたメンバーによる作品を始め、1981年までの作品を収録。その1枚1枚が1935年から1981年までのパリの街の証言者となっている。
マグナムのメンバーであるインゲ・モラス (Inge Morath) によるマグナムとの出会いについてのエピソードと作家アーウィン・ショウ (Irwin Shaw) によるロバート・キャパとの思い出話が巻頭に収録されているのも非常に興味深い。
本の状態:ジャケットの背部分がやや退色。本体の底部に擦れ、エリオット・アーウィットの連作が収録された見開きページの余白に汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
現在、京都文化博物館では、写真家集団マグナム・フォト創立70周年を記念してパリ・マグナム写真展が開催中。
学生の頃の話である。四条河原町を上がった西側に京都書院という屋号の書店があった。出版も手掛けており、店舗は5階だか6階建てのビルだった。その店の上階に美術書のフロアーがあり、多くは和書だったが、少し洋書も並んでいた。そこに通ううちに、1冊どうしても欲しい写真集が見つかった。当時は学生で腹ペコの日々、手にしたお金で腹がようやく満たされると、余ったお金はやはり少しは色気のあることに使うことになり、写真集へ流れることは暫くなかった。ようやく腹と色気を後回しに、その写真集を購入したのは、目にしてから半年以上が経過していた。当時、洋書は今以上に高かった。フラップ部分に印字された表示価格は、$30となっていたが書店での販売価格は、¥6,000以上だったかと思う。学生にとって¥6,000の本は、ちっと高い。意を決してその写真集をレジに。するとありがたいことに勘定を払おうとすると、書店員は、それを見て¥1,000をその場で値引いてくれた。その写真集は、客が手にすることによってジャケットに数々のシワができ、そして7cm程度の破れが2箇所、もはや新刊とは呼べないありさまだったのである。半年以上も売れなかった一因はここにもあったのだろう。写真集のタイトルは『PARIS MAGNUM PHOTOGRAPHS 1935-1981』。先に述べた通り、大きな破れやシワもそのままに我家の本棚に収まっている。
PARIS MAGNUM PHOTOGRAPHS 1935-1981 / Irwin Shaw (Text), Inge Morath (Intro.)
1981, NY, 111 pages, 235 x 310 x 15
1981年にパリのリュクサンブール美術館 (Musee du Luxenbourg) を皮切りに数か国で開催された写真展 PARIS/MAGNUM を機に刊行された1冊である。
物事のありのままの姿だけを尊び、世の中のあるがままの姿を伝える写真家を集めて、編集側の裁量や検閲に煩わされない写真家の共同組織・友愛会をつくるというロバート・キャパのアイデアから正式に結成された写真家集団マグナム。ニューヨーク近代美術館の洒落たレストランで会合がもたれた後、1947年に結成された。結成当初は、ニューヨークとパリに事務所を設置し、ロバート・キャパ、ウィリアム・ヴァンディヴァート、ジョージ・ロジャー、デヴィッド・シーモア、アンリ・カルチェ=ブレッソンら国籍も違えば素性にもはなはだしい隔たりのある写真家たちによってスタートし、現在も地球規模で写真を発信するとんでもない集団であることは夙に有名である。
そんな彼らにとってパリは事務所があるだけでなく特別な場所。本書は、マグナムのメンバーの中から28名によるパリ写真を紹介。マグナム結成以前に写真家としてのキャリアを歩んでいたメンバーによる作品を始め、1981年までの作品を収録。その1枚1枚が1935年から1981年までのパリの街の証言者となっている。
マグナムのメンバーであるインゲ・モラス (Inge Morath) によるマグナムとの出会いについてのエピソードと作家アーウィン・ショウ (Irwin Shaw) によるロバート・キャパとの思い出話が巻頭に収録されているのも非常に興味深い。
本の状態:ジャケットの背部分がやや退色。本体の底部に擦れ、エリオット・アーウィットの連作が収録された見開きページの余白に汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
現在、京都文化博物館では、写真家集団マグナム・フォト創立70周年を記念してパリ・マグナム写真展が開催中。
by booksandthings
| 2017-08-05 12:00
| 写真集