2015年 07月 22日
ASSIMILATION / School of Architecture, University of Minnesota |
「あの時代はみんな気が違ってた。私も当時はゴルフもせんし、絵も描いてないから1日中仕事してた。1日1日が楽しかったねえ。朝から晩まで働いて、後は酒飲むだけだったから。みんなが『狂』の時代でした。何かに取り憑かれるように仕事していた。だが、誰かに怒られるから仕事しようというのでなく、さりとてやらねばならないと目を吊り上げたわけでもない。周りの『狂』の気分に同化してしまっていつも間にか動いていたんだ。それにしても開高(健)も山口(瞳)も先に死にやがって、ほんまに。やっぱり涙ですよ。楽しかった、あいつらと話していると。開高とはすけべえな話ばっかり(笑)でしたが。彼の大声に私も割れ鐘のような声で応戦して、私もすけべえな話しましたな。(横にいた広報の担当者に)おい、今話しとって楽しいような社員はうちにおるのか?」
- 「青春とはなんだ!佐治敬三の場合」プレジデント平成8年11月号より
ASSIMILATION / School of Architecture, University of Minnesota
1974, Minneapolis, 32 plates, 200 x 200 (Plate size)
1974年春、ミネソタ大学の建築・デザイン学科の学生36名が日本に滞在、その3か月間に日本の各地を訪れて見聞した。そしてアメリカへ帰国後、彼らデザイナー・建築家の卵としての若き視点で見て考察した日本の姿を発表すべく、日本美術のコレクションも数多く収蔵するミネアポリス美術館の Maxine Gaiber によって展覧会が開催された。本書は『同化』と名付けられたその展覧会の図録である。
同化・宇宙・変・問題・文脈・価値・理解・天然・解釈・美・動機・本質、など25のキーワードに基づき、(おそらく)学生が撮影した写真と文章(一部は芭蕉、アインシュタイン、ルーズベルト大統領ら著名人の言葉を引用)を二つ折りのリーフレット32枚に収めたユニークな体裁。
注)冒頭に引用したサントリー2代目社長佐治敬三の言葉は、本稿とは特に関連はなし・・・。
本の状態:スリップケースに多少の変色が見られる。リーフレットのフォルダーの一部にヤケ、背部分に擦れあり。リーフレットに少し擦れあり。その他は経年変化程度で概ね良好。
価格:SOLD
「開高健や山口瞳の仕事と現在のそれを比べて格段に質が落ちているとは少しも思えない。しかしこんな想像はできる。便所の臭いが漂ってきそうな一軒のトリスバーがあって、カウンターの向こうに佐治敬三と開高健の二人がバーテンダーをやっているとする。客がバースツールから腰を上げようとすると、『もうちょっと飲んでってえな』と、二人は愛想よくもみ手をしながらも目と目で合図し、入り口のドアに鍵をかける。客の懐が空になるまで、彼らはサントリーのウイスキーを注ぐのをやめない。一方、現在の宣伝部のクリエーターたちは洗練されたインテリアのバーをつくるだろう。酒の種類も豊富だしサービスも上質だろう。そして客が一杯飲んだだけでチェックを頼んでも、屈託のない表情で『ありがとうございました。またのお越しを』とていねいに挨拶をしてくれるような気がする。佐治や開高は広告の技術で酒を売っていたのではなく、客を壁際に押しつけても金をふんだくってやるという気迫で、ウイスキーを日本全国に普及させたのではないか」
- 野地秩嘉
注)この文章も本稿とは特に関連はなし・・・。
- 「青春とはなんだ!佐治敬三の場合」プレジデント平成8年11月号より
ASSIMILATION / School of Architecture, University of Minnesota
1974, Minneapolis, 32 plates, 200 x 200 (Plate size)
1974年春、ミネソタ大学の建築・デザイン学科の学生36名が日本に滞在、その3か月間に日本の各地を訪れて見聞した。そしてアメリカへ帰国後、彼らデザイナー・建築家の卵としての若き視点で見て考察した日本の姿を発表すべく、日本美術のコレクションも数多く収蔵するミネアポリス美術館の Maxine Gaiber によって展覧会が開催された。本書は『同化』と名付けられたその展覧会の図録である。
同化・宇宙・変・問題・文脈・価値・理解・天然・解釈・美・動機・本質、など25のキーワードに基づき、(おそらく)学生が撮影した写真と文章(一部は芭蕉、アインシュタイン、ルーズベルト大統領ら著名人の言葉を引用)を二つ折りのリーフレット32枚に収めたユニークな体裁。
注)冒頭に引用したサントリー2代目社長佐治敬三の言葉は、本稿とは特に関連はなし・・・。
本の状態:スリップケースに多少の変色が見られる。リーフレットのフォルダーの一部にヤケ、背部分に擦れあり。リーフレットに少し擦れあり。その他は経年変化程度で概ね良好。
価格:SOLD
「開高健や山口瞳の仕事と現在のそれを比べて格段に質が落ちているとは少しも思えない。しかしこんな想像はできる。便所の臭いが漂ってきそうな一軒のトリスバーがあって、カウンターの向こうに佐治敬三と開高健の二人がバーテンダーをやっているとする。客がバースツールから腰を上げようとすると、『もうちょっと飲んでってえな』と、二人は愛想よくもみ手をしながらも目と目で合図し、入り口のドアに鍵をかける。客の懐が空になるまで、彼らはサントリーのウイスキーを注ぐのをやめない。一方、現在の宣伝部のクリエーターたちは洗練されたインテリアのバーをつくるだろう。酒の種類も豊富だしサービスも上質だろう。そして客が一杯飲んだだけでチェックを頼んでも、屈託のない表情で『ありがとうございました。またのお越しを』とていねいに挨拶をしてくれるような気がする。佐治や開高は広告の技術で酒を売っていたのではなく、客を壁際に押しつけても金をふんだくってやるという気迫で、ウイスキーを日本全国に普及させたのではないか」
- 野地秩嘉
注)この文章も本稿とは特に関連はなし・・・。
by booksandthings
| 2015-07-22 12:00
| デザイン