2019年 07月 10日
BLANC ET ROUGE, ROSE ET NOIR, BLEU BLANC ROUGE / Etienne Nicolas, Paul Iribe (Dessins) |
アールデコ期のイラストレーター、ポール・イリブは、シャネルの恋人であり、結婚の噂さえあった人物。作家コレット (Colette) に言わせると「イリブとシャネルが結婚するっていう噂だけど、シャネルとしたことが・・・驚かない?この男は、興味ある悪魔よ」 。
そのポール・イリブは、パリで名を馳せ、さらにハリウッドに渡り、映画のデコレーターの仕事にも携わり、再びパリに戻り、ワイン商二コラ (Etienne Nicolas) とフランス・ワインを讃える3部作のアルバムを手掛けている。
1930年に刊行された第1のアルバムのタイトルはワインの基本色であるホワイトとレッド 『BLANC ET ROUGE』。
テキストをジョルジュ・モントゲイ (Georges Montorgueil) が担当し、レストランのテーブルでのワインにまつわるストーリーが綴られている。ワイン商ニコラのイメージ・キャラクター “ネクター (Nectar)” が給仕として描かれている。
第2のアルバムは1931年に刊行された。タイトルは 『ROSE ET NOIR』。ルニ・バンジャマン (Rene Benjamin) による新婚カップルのアメリカン・カクテルをテーマとした会話集のブックレットが紐で綴じられている。ポール・イリブのアールデコ・スタイルのイラストは、描いたイラストを写真に撮り、その写真を元にしてローズ、ブラック、ホワイトの3色で彩色されており、驚くべき濃淡の印刷に仕上がっている。
第3のアルバムは1932年に刊行されタイトルはフランスの3色旗に色であるブルー、ホワイトそしてレッド 『BLEU BLANC ROUGE』。ロシアのウォッカ、ドイツのビール、ブリテッシュのウヰスキー、アメリカのミネラル・ウォーターをテーマとしたポール・イリブによるイラストの版画が折込ページに収録されている。
第1から第3まですべて “フランスのワイン” に対する外国の飲料への皮肉を込めたユーモア作品であり、ワイン商ニコラのワインへの異常な愛情表現と受け止めることができる素晴らしい印刷物である。高水準の印刷は Draeger Freres 社 。
1930-1932, Paris, Unpaged, 260 x 322 x 5 (Each)
本の状態:全巻フラップ付きソフトカバー。見返しに全所有者の蔵書票(フランス)。カバーには擦れ、キズ、シワあり。内部ページに少し点状のシミのあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2019-07-10 12:00
| イラストレーション