2017年 11月 18日
PORTFOLIO A MAGAZINE FOR THE GRAPHIC ARTS VOLUME 1 NUMBER 1 WINTER 1950 |
編集者としてジョージ・S・ローゼンタール (George S. Rosenthal)、フランク・ザッカリー (Frank Zachary)、そしてアート・エディターとしてアレクセイ・ブロドヴィッチ (Alexey Brodovich)。この三人が手掛けたグラフィック・アート・マガジン『PORTFOLIO』は ジョージ・S・ローゼンタールのファミリーが経営する出版社 Zebra Press から1950年に刊行された。
年4回刊行、年刊購読料は12ドル。プロモーションが功を奏し、刊行前には2,000を越える購読予約を取りつけていた。が、結果は3号をもって廃刊。第3号となる1951年の『PORTFOLIO』には次号1952年刊行予定号の購読予約のポストカードがページに挟まれている(デザインは、おそらくポール・ランドではないだろうか)。
雑誌のクオリティを落とさないために広告を掲載せず、累積してゆくランニングコスト(数機のフォトスタット、つまりコピー機の購入などブロドヴィッチの浪費ともいわれている)に耐え切れず3号で幕を閉じたが、1951年の3号刊行時にはまだ廃刊を決めていなかったことになる。しかし結果的には、雑誌存続のため『Time』『LIFE』 誌のオーナーであるヘンリー・ルース (Henry Luce) に雑誌の買取を依頼するも興味を示してもらえず、その上、ローゼンタールのファミリー企業にもそっぽを向かれてしまったようだ。
そのような経緯に関係なく当時も今もたった3号だけの『PORTFOLIO』はグラフィック・デザイナーたちの間では伝説の雑誌となっている。
George S. Rosenthal, Frank Zachary and Alexey Brodovitch
1950, Cincinnati, Unpaged, 255 x 3330 x 10
アレクセイ・ブロドヴィッチの代表作品としても名高い『PORTFOLIO』であるが、計画当初は編集者二人の間では、旧知のグラフィック・デザイナー、ポール・ランドにアート・エディターを依頼する予定だったそうだ。実際にダミー号の製作をスタートさせる際にはっきりしたのだが、ポール・ランドは自身の作品のクリエーションは素晴らしいものがあるが、他人の作品を巧みにページに扱うことができなかったようである。その後二人は、素材(テキストや図版)を持ってアレクセイ・ブロドヴィッチのアパートを訪ねることとなる。ブロドヴィッチは、その場でまるでマジックのように床に広げた素材をフォトスタットなどを使い見事にレイアウトした。そのような経緯で漕ぎ着けた記念すべき第1号が本書である。
18世紀のイタリアのタイポグラファー Giambattista Bodoni、ポスター・デザイナー E. McKnight Kauffer、Xerography、Paul Rand によるトレード・マーク、アメリカの屋外巨大広告、ロード・アンド・テイラーやニーマン・マーカスなどのデパートのラッピングペーパー、シェーカー教徒のドローイング、イラストレーター Saul Steinberg、写真家 Irving Penn、Richard Avedon の作品などを誌面で紹介し、見事なシークエンスでレイアウトがなされている。巻末にはブロドヴィッチ自らデザインした表音法のシンボルに影響を受けたスタイルのタイプフェイス “Albro Alphabet” を収録。ともかく1ページ1ページが素晴らしい。
本の状態:ソフトカバー。カバーにキズ、シワ、擦れ、破れあり。内部ページに多少のシワ、余白部分に対面ページとの擦れによるインク汚れあり。タイトルページに前所有者の記名(英語)あり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
3号揃い。Complete 3 volumes set.
1950 - 1951, NY, Unpaged, 255 x 330 x 10 (#1), 255 x 330 x 8 (#2), 255 x 330 x 15 (#3)
本の状態:各号カバーにキズ、擦れ、シワ、汚れあり。#3のジャケット背部上部6㎝程度欠け。その他は特に目立ったダメージはない。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2017-11-18 12:00
| デザイン