2012年 03月 04日
JAN GROOVER PHOTOGRAPHS / John Szarkowski (Introduction) |
1943年生まれのアメリカの女性写真家ジャン・グルーヴァー (Jan Groover) の写真集を眺めながら、その写真集に収録されている最後の年の作品となる1992年以降の彼女の作品がどのようなテーマになっているのだろうかと調べていたところ彼女の訃報に接した。今年1月のことだそうだ。
画家を志し、その後写真家に転向。1970年代には建物のデティールのカラー写真を3枚並べた作品、移動する車両を接写し、時間やスピード感じさせる作品など屋外のオブジェを鋭い感性で撮影している。その後、作風は一変。屋外から屋内のオブジェへ被写体を移す。被写体の対象となったのは、なんとキッチン・ツールであった。
画家を志し、その後写真家に転向。1970年代には建物のデティールのカラー写真を3枚並べた作品、移動する車両を接写し、時間やスピード感じさせる作品など屋外のオブジェを鋭い感性で撮影している。その後、作風は一変。屋外から屋内のオブジェへ被写体を移す。被写体の対象となったのは、なんとキッチン・ツールであった。
JAN GROOVER PHOTOGRAPHS / John Szarkowski (Introduction)
1993, Boston, 59 plates, 235 x 275 x 15
家庭で使い込まれたナイフやフォーク、スプーン、エッグ・スライサー、グラス、ヘラ、ステンレス・ボウル、計量カップ、菓子型、焼き網、そして野菜や果物など一般的にキッチンに普通にあるものばかり。それらを組み合わせて撮影された写真はそこに何気なく置かれていたという感じであり、恣意的な強さを感じさせない。被写体がごく普通のオブジェだからだろうか。それにしてもそのシェープやフォルム、空間、色調、テクスチャーがカラーではややコントラストのある表現で、モノクロはプラチナ、もしくはパラダイムプリントによるロー・コントラスト。さりげなくいい写真なのである。
キッチンツールの撮影と並行して、ジャン・グルーヴァーは人の自然な手足の動作や何気ない屋外の景色を撮影しており、またオブジェに塗装するなど手を加えたものを組み合わせたカラー作品も手掛けている。1992年には、なにげなく散らかったテーブルの上のオブジェをまわりの風景を取り込み、やはりロー・コントラストのモノクロ作品に仕上げている。本書はこれらの作品を年代順に収録したものである。紹介文は MOMAの写真部門のディレクター、ジョン・シャーカフスキー。ウォーカー・エヴァンスやエドワード・ウエストン、アンリ・カルチェ=ブレッソンらの巨匠を例にとりながら、ジャン・グルーヴァーの写真を新しいと評する。
本の状態:経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2012-03-04 12:00
| 写真