2012年 02月 20日
NEW YORK THE NEW ART SCENE / Ugo Mulas (Photo), Alan Solomon (Text) |
芸術家のキッチン、ダイニングルームの写真を並べてみた。普段あまり目にする(見せる)ことのない光景だろう。上からJim Dine、Lee Bontecou、Jesper Johns、Robert Rauschenberg、George Segal、Tom Wesselmann 。当時のアートシーンに欠かせない面々。
ハンス・ナムス (Hans Namuth) は1950年代~60年代にかけてジャクソン・ポロックやマーク・ロスコ、デ・クーニングら芸術家のスタジオやポートレイトの撮影で知られている写真家だが、その1960年代にはニューヨークで新たな芸術のムーヴメント、いわゆる“ポップ・アート”や“ミニマル・アート”、“コンセプチュアル・アート”がおこり、それまでアートシーンを圧巻していた抽象表現主義から時代が変わった時期である。その60年代の新たなニューヨークのアートシーンを撮影し、1冊のハンサムな本にまとめたのがイタリア人写真家ウゴ・ムラス (Ugo Mulas) である。1964年にヴェニスのビエンナーレでのアメリカの芸術に影響を受け、3回に亘りニューヨークを訪れ、芸術家たちを撮影する。そのウゴ・ムラス本人は英語が全く話せず、イタリア語とほんの少しだけフランス語だけだったそうだが、上の写真を含め本に掲載された写真を見ているとその言葉抜きのコミュニケーション能力に驚かさせる。真にインターナショナルな人間だったのだろう。
NEW YORK: THE NEW ART SCENE / Ugo Mulas (Photo), Alan Solomon (Text)
1967, NY, 337 pages, 245 x 333 x 32
数々のポップ・アートが壁面に掛けられたロバート・ローシェンバーグのロフトでひとつのテーブルに座り感謝祭のディナーを楽しむ面々、アンディ・ウォーホールのファクトリーでのダンスパーティを制止する警官を捉えたショットをはじめ、デュシャン、リキテンシュタイン、ニューマン、ノーランド、ステラ、ローゼンクイストらニューヨークのアートシーンをリードする芸術家たちのスタジオでの製作風景や日常を500枚を越える写真で構成した1冊。重めのモノクロ・インクが染み込んだページをめくる度にそのウィットと熱が伝わる写真集である。ジャスパー・ジョーンズやケネス・ノーランドにとっては、ムラスが自分たちの製作風景などを撮影した初めての写真家だったことも記しておく。
本の状態:ジャケットの縁部分にヨレ、小キズあり。前見返しに少し汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2012-02-20 12:00
| 写真