2012年 02月 06日
THE DECISIVE MOMENT / Henri Cartier-Bresson |
アンリ・カルティエ=ブレッソン (Henri Cartier-Bresson) の写真集『IMAGES A LA SAUVETTE』を初めて手にしたのは随分前になるが、パリのセーヌ通りのこじんまりした古書店だった。その古書店の小さなウインドウに『IMAGES A LA SAUVETTE』だけが飾られていた。古書店はアート関連の専門店ではなく、品揃えはフランスの文学や歴史書など主にテキストで構成されている本を扱っていた。そのような品揃えの古書店においても、このアンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集はウィンドウに飾るだけの価値ある本として扱われているのだとつくづく感心したものだ。ウインドウに飾られたその本は状態もとても良く、ブランを背景にノアール、ペロケ、ヴェール・ヴェロネーズ、そしてブルー・ドゥ・マチスとも言われる明るいブルーを使ったマチスの切り絵と手書きのタイトルの装丁が光輝を放っていた。
THE DECISIVE MOMENT / Henri Cartier-Bresson
1952, NY, 126 plates, 277 x 372 x 20
フランスで出版された写真集のタイトルは『IMAGES A LA SAUVETTE(逃げ去るイメージ)』 だが、アメリカで出版されたタイトルは 『THE DECISIVE MOMENT(決定的瞬間)』であり、このアメリカ版のタイトルがアンリ・カルティエ=ブレッソンのキャッチフレーズとなっていることは良く知られている。第二次世界大戦前に出版する計画のあったカルチェ=ブレッソンの作品集は、結局戦争により1952年に出版されることとなった。出版社はマチスやミロ、レジェなどのアーティストの本を手掛けるパリを拠点とするギリシャの出版社である。このアメリカ版もフランス版同様にパリの印刷会社 Draeger Freres によるものであり、カルティエ=ブレッソン好みのグレートーンのグラベール印刷で見事に表現されている。この写真集による影響は、若きスイス人写真家ロバート・フランクをはじめ、数多くの世界中の写真家、アーティストに及んだことは言うまでもない。
「私にとって写真とは、一秒の何分の一という瞬間に、出来事の意味を、その出来事を適切に表現する形の正確な構成を同時に認識することである。
生きる行為を通じて自分自身を発見することは、自分をとりまく世界を発見するのと同時に行われることだと考えられる。そして、その世界は我々を形づくることができるものだが、同時に我々によって影響を受け得るものである。この二つの世界、つまり我々の心の中にある世界と外部の世界の間には、あるバランスが確立されていなければならない。たえまない相互作用の結果として、この二つの世界はともに単一の世界を形づくる。この単一の世界こそ、我々が伝えなければならぬものなのだ。
しかしこれは写真の内容についてのみいうことである。私にとっては内容というものは形から切り離すことはできないものだ。形というものは、平面、線、明暗の相互作用の厳密な構成だと私は解釈している。我々の概念や感動を実体的なものにし、人に伝え得るものにすることができるのはこの構成による以外にはない。写真では目で見られる構成は発達した直感だけから生まれてくるのである。」
アンリ・カルチェ=ブレッソン(写真集の序文より抜粋)
本の状態:ジャケットに少しシミ、汚れ、欠け、破れあり。前後見返しの綴じ部分の紙に少し破れがあるが、綴じはしっかりしている。その他は経年変化程度。キャプションブックレット付。
価格:¥154,000 (2020/4/6 UPDATED)
THE DECISIVE MOMENT / Henri Cartier-Bresson
1952, NY, 126 plates, 277 x 372 x 20
フランスで出版された写真集のタイトルは『IMAGES A LA SAUVETTE(逃げ去るイメージ)』 だが、アメリカで出版されたタイトルは 『THE DECISIVE MOMENT(決定的瞬間)』であり、このアメリカ版のタイトルがアンリ・カルティエ=ブレッソンのキャッチフレーズとなっていることは良く知られている。第二次世界大戦前に出版する計画のあったカルチェ=ブレッソンの作品集は、結局戦争により1952年に出版されることとなった。出版社はマチスやミロ、レジェなどのアーティストの本を手掛けるパリを拠点とするギリシャの出版社である。このアメリカ版もフランス版同様にパリの印刷会社 Draeger Freres によるものであり、カルティエ=ブレッソン好みのグレートーンのグラベール印刷で見事に表現されている。この写真集による影響は、若きスイス人写真家ロバート・フランクをはじめ、数多くの世界中の写真家、アーティストに及んだことは言うまでもない。
「私にとって写真とは、一秒の何分の一という瞬間に、出来事の意味を、その出来事を適切に表現する形の正確な構成を同時に認識することである。
生きる行為を通じて自分自身を発見することは、自分をとりまく世界を発見するのと同時に行われることだと考えられる。そして、その世界は我々を形づくることができるものだが、同時に我々によって影響を受け得るものである。この二つの世界、つまり我々の心の中にある世界と外部の世界の間には、あるバランスが確立されていなければならない。たえまない相互作用の結果として、この二つの世界はともに単一の世界を形づくる。この単一の世界こそ、我々が伝えなければならぬものなのだ。
しかしこれは写真の内容についてのみいうことである。私にとっては内容というものは形から切り離すことはできないものだ。形というものは、平面、線、明暗の相互作用の厳密な構成だと私は解釈している。我々の概念や感動を実体的なものにし、人に伝え得るものにすることができるのはこの構成による以外にはない。写真では目で見られる構成は発達した直感だけから生まれてくるのである。」
アンリ・カルチェ=ブレッソン(写真集の序文より抜粋)
本の状態:ジャケットに少しシミ、汚れ、欠け、破れあり。前後見返しの綴じ部分の紙に少し破れがあるが、綴じはしっかりしている。その他は経年変化程度。キャプションブックレット付。
価格:¥154,000 (2020/4/6 UPDATED)
by booksandthings
| 2012-02-06 12:00
| 写真