2020年 05月 23日
ライフ創刊号 / LIFE: NOVEMBER 23, 1936, The First issue |
LIFE 創刊号の表紙を飾る巨大なダム。フランクリン・ルーズベルト大統領の大恐慌を克服するための一連の政策のひとつとして組織されたWPA(公共事業促進局)が洪水を抑えるためにコロンビア川流域の建設中の世界最大の土盛りダムであるフォートペックを、ライフ誌と契約したばかりの写真家マーガレット・バーク=ホワイト (Margaret Burke-White) が撮影したものである。
場面の大きさを示すために二人の労働者の小さな姿をスケールとして前景に配置することにより、ダムは永遠を体現したかのように大きく見える。また、元の写真は横位置であり、周りには未完成の建造物が写っていたようであるがトリミングにより力強い形態のみ示されている。アメリカの力、アメリカの技術を写真1枚で表現した、まさに歴史的なものである。
加えて興味深いのは、マーガレット・バーク=ホワイトの人間的関心を示した巻頭記事「ルーズベルトの西部辺境地帯」の写真の数々である。巻頭記事には、掘っ立て小屋の町を空から見た光景、失業から救われた1000人のモンタナの労働者が土曜日の夜に浮かれて遊んでいる写真などが見られる。
「ライフ・ビギンズ(生命の誕生)」とキャプションが付けられた新生児の写真に続き、この創刊号の序言は次のように始まっている。
“創刊時予約購読者の皆さんの中には「ライフ」第1号の巻頭記事となったものに驚いた人がいるかもしれないが、その人の驚きより編集者たちの驚きのほうが大きかった。写真家マーガレット・バーク=ホワイトはコロンビア川流域の何千万ドルもの予算をかけた計画を撮影するために北西部に派遣されていた。編集者たちが(いつかあとの号で使おうと)期待していたのはバーク=ホワイトだけが撮れるような建築写真だった。編集者たちが手に入れたのはアメリカのフロンティア生活のヒューマン・ドキュメントだったのであり、少なくとも編集者にとってこれは意外な新発見だった。”
写真雑誌の出現であり、写真に物語らせる時代に入る。
LIFE: NOVEMER 23, 1936, THE FIRST ISSUE, 10 CENTS
1936, NY, 96 Pages, 268 x 360 x 4
タイム社は創刊当日この新しい雑誌を20万部ニュース・スタンドに配達したが数時間の内に売り切れる。全国の都市から「ライフ」を求める電報が届き、結果的には注文は満たされることはなかったが46万6千部が完売。それは印刷機が需要に応えるだけの部数を印刷することができるまで続くことになる。
絵になる表紙、加えて歴史的な1冊、額装し、書斎等に飾るのもいい。
本の状態:カバー表側に小さなキズ、擦れ、シワ、破れ、後ろ側に軽い折り目、シワ、汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:¥14,300
さて、このライフ創刊号の巻頭記事の写真(16~17ページ)が大騒動を起こすことになる。
このダムにどれだけのコンクリートが使われたか、鉄がどれだけ使われたか、またこの仕事に従事した人は何人か、ではなく読者が知りたがっていた細かいことはたった一つ。「ビア・パーラーのカウンターに座っている子どもは男か女か?」であった。
すでにこのスタートの時期からフォトジャーナリズムの真相とその問題点が垣間見える。
スモール・エディション。
1936, NY, 96 Pages, 168 X 212 x 8
繰り返しとなるが、ライフ創刊号の初刷は20万部。ニューススタンドで売り出されたこの新しい雑誌は数時間で売り切れ、追加で印刷するものの、印刷機が需要に応えるだけの部数を印刷することができず、そのための対応策として用意された小型版。
用紙はやや厚め、印刷のクオリティがやや落ち、裏表紙(表四)のラッキー・ストライクの広告がモノクロになっている。
本の状態:ソフトカバー。カバーに僅かなキズ、汚れあり。その他は経年変化程度。
価格:¥8,800
創刊号から1937年1月25日号までの10号分の合本。
Bound issues (No. 1 - No. 10).
本の状態:革のカバーに変色、擦れ、汚れ、小キズあり。天地・小口に汚れ。内部ページの縁部分に水濡れによるシミ、シワあり。
価格:SOLD
by booksandthings
| 2020-05-23 12:00
| 再入荷・更新